AKG N5 Hybrid | |
発売日 | 2024年5月17日 |
価格 (発売時) |
38,500円 |
連続再生時間 (単体/ケース込) |
Bluetooth接続 10時間/40時間 Bluetooth接続(ANC ON) 8時間/32時間 ドングル接続 4.5時間/18時間 ドングル接続(ANC ON) 4時間/16時間 |
コーデック | SBC/AAC/LDAC/LC3plus (LC3対応予定) |
ドライバー | 10mmダイナミックドライバー |
防水性能 | IP54 |
Bluetooth Ver. | 5.3 |
機能 | ノイズキャンセリング・外音取り込み機能・ドングル接続・マルチポイント・低遅延モード・イコライザー・空間オーディオ・着脱検知・専用アプリ・ワイヤレス充電・急速充電(15分→4時間)・Google Fast Pair・Microsoft Swift Pair |
資料 | 公式サイト / 説明書 |
- 解像度の高いモニターライクなサウンド。高音が非常にクリア
- 強力なノイズキャンセリング(高音質で強ノイキャンはレア)
- ドングル接続すれば超低遅延で通話品質も極上
- ハイレゾオーディオで使える機能が制限される
- ドングル接続とBluetooth接続が勝手に切り替わることがある
- ドングル接続時、再生コントロール不可
総合評価 |
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9/10 |
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こんにちは、猫居です。
趣味で完全ワイヤレスイヤホン(TWS)を集めています。
今回レビューするのはAKGのTWS、N5 Hybrid。
AKGとしては初となる完全ワイヤレスで、ドングル接続にも対応。
ノイズキャンセリング機能や空間オーディオ機能なども搭載し、現状で詰め込める機能をすべて詰め込みましたと言わんばかりのイヤホンです。
今回も先に総評を紹介します。
より詳細な内容は目次以降をご覧ください。
総評 |
9/10点 解像度が高く、フラットで明瞭なモニターライクサウンドです。 |
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音質 | 9.7/10 | 便利機能 | SABCD |
ノイキャン | 9.5/10 | 携帯性 | SABCD |
外音取り込み | 9/10 | 操作性 | SABCD |
装着感 | 9/10 | 通話性能 | SABCD |
AKG N5 Hybridとは
https://jp.akg.com/AKG-N5-HYBRID.html
『特徴』
他に類を見ないほどの多数の機能を搭載しています。
スマートトークや音質最適化機能であるPersoni-Fiなどは同じハーマン系列のJBLのハイエンドTWS『TOUR PRO 2』やワイヤレスヘッドホン『TOUR ONE M2』に搭載されていた機能。ドングルはゲーミングTWS『Quantum TWS』ですね。
ハーマンの技術を全部詰め込んだような感じになっています。
便利機能 | S・A・B・C・D |
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AKG N5 Hybridの外観・付属品チェック
イヤホン本体
タッチセンサー式。
イヤホンはかなり大きめですが、JBL TOUR PRO 2のデュアル・オーバルシェイプデザインと同様に楕円形で耳の穴に違和感なくフィットするデザインになっています。
【画像5枚:スクロールバーorスワイプでスライド出来ます】
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イヤホンケース
Qiワイヤレス充電、15分の充電で4時間再生可能な急速充電に対応。
ケース内にドングルを収納できるようになっています。
【画像6枚:スクロールバーorスワイプでスライド出来ます】
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ドングル
USB-CドングルにはUSB-Aコネクタも付属。
PC・PS5・Switch・Android・iPhone15など様々なデバイスと即座に接続することができます。
【画像3枚:スクロールバーorスワイプでスライド出来ます】
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外箱・付属品
付属品リスト
- イヤーピース
- 充電用 USB Type-C ケーブル
- USB-Cドングル
- USB-C→Aドングル
- ユーザーガイド
AKG N5 Hybrid 測定データ
重さ・サイズ実測値
ケースサイズ | 縦:42.6mm 横:68.8mm 高さ:34.2mm 三辺合計:145.6mm |
重さ | イヤホン:6.0g ケース:48.3g |
ドングルも収納できるようになっているためか、やや厚みのあるケースです。
ものすごくコンパクトとはいきませんが、ポケットに入れるのもぎりぎり許容範囲といったサイズ感だと思います。
イヤホンは大きめで重さも平均より結構あります。
ちなみにドングルの重さは2.5g。コネクタが2.8gでした。
携帯性 | S・A・B・C・D |
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(参考:小さい順|完全ワイヤレスイヤホン・イヤホンケースサイズ比較表)
Bluetooth接続時の遅延
Android・PC その他 | iPhone | |
通常時 | 326ms(SBC) 359ms(AAC) 320ms(LDAC) |
359ms(AAC) |
低遅延時 | 169ms(SBC) 200ms(AAC) 322ms(LDAC) |
200ms(AAC) |
100ms=0.1秒です。
この測定環境ではスピーカー出力時21msの遅延を観測します。
結果から-21msした数値をワイヤレスイヤホン由来の遅延と考え表に記載しています。
- Android接続時(SBC/ビデオモード)の最小遅延=約0.169秒
- iPhone接続時(AAC/ビデオモード)の最小遅延=約0.200秒
アプリで『ビデオモード』を選択すると低遅延モードになります。
Android・iPhone共にビデオモードにすることで遅延は減るものの、ゲームで使うには厳しい数値です。
動画視聴はYoutubeやNetflixなどのアプリ側で遅延を補正してくれるものは問題ありませんが、それはビデオモードにしなくても同じことなので、結局低遅延で使いたい場合はドングルをさして使うのが1番良いということになります。
なお、LDAC接続時はビデオモードの効果が得られませんでした。
ドングル接続時の遅延
ドングル接続時はいつもの測定方法が使えないので簡易的なテストを行いました。
オーディオテスターの遅延試験を動画で撮影し、音の出る瞬間をコマ送りしてチェックする方法です。
有線イヤホンの結果とドングル接続時の結果を比べてどれくらい遅延があるのかをみていきます。
まず有線イヤホン接続時の遅延。
次のAKG N5 Hybridのドングル接続時の遅延。
有線イヤホン接続時の遅延を0とすると(実際には有線でも0ではありませんが)、ドングル接続時の遅延は0,07~0,08秒くらいかな?という感じです。
実際に使ってみても動画や普通のゲームはもちろんのこと、簡単なリズムゲームくらいなら問題なく出来る印象でした。
ただ、スコアを気にしてプレイするような本気のプレイで使いたい方にとってはこれでもやはり少し遅延が気になるんじゃないかなと思います。
交換イヤーピース対応表
SONY ハイブリッドイヤーピース(M) |
- | AZLA SednaEarfit Crystal(M) |
○ |
SONY トリプルコンフォートイヤーピース(M) |
- | final TYPE E(M) |
○ |
オーディオテクニカ AT-ER500(M) |
○ | Spinfit OMNI |
- |
NUARL Magic Ear+7 |
○ | 日本ディックス COREIR BRASS(M) |
- |
COMPLY TG-200 トゥルーグリップ(M) |
- |
イヤーピースの選択肢はあまり多くはない印象でした。
サイズの大きいイヤーピースではケースに収納したときにイヤホンが浮いてしまって充電できなくなってしまうためです。
AKG N5 Hybrid 詳細レビュー
音質評価:フラットで明瞭なハイレベルサウンド
非常にフラットでモニターライクな音です。
過不足なく下から上まで出ており、どんな曲もこなす印象。
特に高音のクリアさは特筆に値する素晴らしさです。
ボーカルの情感を感じにくいところはありますが、総合的にみても4万円以下のTWSとしてはTOPクラスの音質ではないかと思います。
Bluetooth接続(LDAC)かドングル接続(LC3 plus)か
N5 HybridではBluetooth接続でLDACを選択するかドングル接続することでハイレゾ相当で聴くことができます。
ファーストインプレッションではドングル接続のほうが高音がより明瞭で音が良いように感じられました。
LDACだとドングルよりも温もりのある音となり、一聴ではドングルの方が良いかな?と思うのですが、こちらは音に丸みがあり、ボーカルの情感などはLDACのほうが感じ取りやすい印象です。
どちらが良いかは好みの問題なのかなと思いますが、個人的にはN5 Hybridのモニターライクなサウンドにはドングル接続時のカラッとした明瞭さが合っていて好きです。
逆に少し刺激的と感じる場合はLDACの方が良いかもしれません。
音質 |
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9.7/10 |
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ハイレゾオーディオをONにすると使えなくなる機能
Personi-Fi
年齢やリスニング経験などを入力したあとに聴こえる音・聴こえない音を判定していって音質を最適化してくれる機能です。
音質は確かに良くなるのですが、ハイレゾの方がより良いかなという印象。
併用できないのはかなり残念です。
空間サウンド
- ムービー:スピーカーの位置が映画館くらい離れているように感じられ、かなり臨場感のある音に。映画などをみるときは積極的に使いたい機能。
- ミュージック:丸いボールを上下から圧迫して潰したような音場感。横に妙に長く、縦は狭い、かなり違和感の強いサウンド。
- ゲーミング:低音が増して迫力が感じられるサウンドに。
低音量ダイナミックEQ
小音量で“ながら聴き”したいときはこのモードのほうが音が潰れずしっかり聴けます。
ノイズキャンセリング機能の比較:ハイエンドに相応しい消音力
アダプティブノイズキャンセリング機能を搭載
自分でレベルを選択することも出来ます
ノイズキャンセリングの強さはJBL TOUR PRO 2と同程度かと予想していましたが、比べてみるとN5 Hybridのほうがかなり強力な消音力でした。
大きなノイズもぐっと抑えることができ、ノイキャンの効きにくい中音以上のノイズにも効果を実感できます。
その効果はTechnics EAH-AZ80より僅かに低音ノイズの消音力が高く、ノイキャン特化TWSのAnker Soundcore Liberty4 NCよりは高音の消しが少し甘いかなといった感じ。
ノイキャン最上位のBose QuietComfort Ultra EarbudsやSONY WF-1000XM5よりは劣りますが、非常に強力なノイキャンといえます。
(参考:AKG N5 Hybridのノイズキャンセリングの強さを他社ANCイヤホンと比較|ノイキャン強度比較表)
ノイキャン |
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9.5/10 |
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外音取り込み機能の評価:取り込み量の微調整が可能
外音を取り込む量を7段階調整可能
トークスルーは人の声を集中して拾うモードです
外音取り込みMAXだとイヤホンをしていないときとほぼ変わらないくらいの音量で外音を取り込めます。(少し明度は落ちますが)
ただ、サーというノイズが入るのがデメリット。
取り込み量を2段階ほど下げるとノイズはあまり気にならなくなります。
取り込む量自体もそれほど落ちないので個人的には取り込みレベル5くらいで運用するのが使いやすかったです。
外音取り込み |
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9/10 |
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装着感評価:イヤホンの大きさを感じさせない快適さ
装着時の見た目
JBL TOUR PRO 2の「デュアル・オーバルシェイプデザイン」とほぼ同型であり、装着時の着け心地も非常に良好です。
N5 Hybridはイヤホン自体は結構大きいのですが、すっぽり耳穴にハマる感じで耳に負担を感じにくくなっています。
安定した着け心地で、長時間着けっぱなしにしても耳が疲れません。
装着感 |
|
9/10 |
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マイク性能・通話品質:ドングル接続時は最上級のクリアさ
Bluetooth接続時
そこそこのクリアさです。
風や周囲のノイズに対する処理が入るとぼやけた声になりますが、ある程度耐えてくれます。
静かな環境なら家族と知人との通話くらいはこちらでも充分。
ドングル接続時
非常にクリアな音声です。
風や周囲の騒音もなんのその。
仕事でも使えるレベルのマイク性能で、ヘッドセットで通話しているような感覚でした。
通話品質 | S・A・B・C・D |
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操作方法と操作性評価:音量調整は実質選べない
デフォルトの操作方法
L側 | R側 | |
1タップ | ノイズコントロール | 再生/停止 |
2タップ | Bluetooth/ドングル 切り替え | 曲送り |
3タップ | トークスルー | 曲戻し |
長押し | 音声アシスタント | 音声アシスタント |
JBLのTWSと同様で、下の画像にある4種類の設定から選んで左右に振り分けるようになっています。
3タップだけ操作を入れ替えるといったことは出来ません。
再生コントロールもアンビエントサウンドの操作も外せないのでデフォルトのまま運用する方が多いと思います。
なので実質的に音量コントロールは入れることが出来ません。
この辺はもう少し柔軟にカスタマイズできるようになってほしいところです。
操作性 | S・A・B・C・D |
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ドングル接続時の注意点
再生コントロール不可
ドングル接続時は再生/停止や曲送りなど、デフォルトで右イヤホンに割り当てられている操作ができません。
(左イヤホンの操作<ノイズコントロール等>は出来ます)
同じドングル付きTWSのJBL Quantum TWSの仕様そのままという感じですが、あちらはゲーミングTWSを謳っていて、ゲームに繋いだら特にそういった操作は必要ないので問題なかったのですが…
N5 Hybridではリスニングでも積極的に使いたい音質なので、この仕様はちょっといただけませんね。
アップデートで修正されることを望みます。
接続が勝手に切り替わってしまうことがある
Bluetooth接続とドングル接続の両方で接続しているときに、時々接続が勝手に入れ替わってしまうことがあります。
これが割とストレスなので正直ドングル接続で使うときはドングルオンリーで使うのが最適解かも…。
3台同時接続は出来ません
Bluetoothのマルチポイント2台同時接続+ドングルでさらに1台接続。
これで3台同時接続できそうに思えますが、出来ません。
(例)
- ドングル接続していたところにBluetooth接続でもう1台接続する
- そこにマルチポイントでさらにもう1台Bluetooth接続をする
- ドングル接続が待機状態になって接続から外れる
こんな感じでどうやっても3台同時接続はできません。
同じドングル+マルチポイントのPOLY VOYAGER FREE 60+ UCも同様の仕様でした。
ドングルでSwitch・PS5と接続してみる
左:PS5 右:Switch
ドングルでPS5やSwitchと接続してみましたが、問題なく使用できました。
普通のゲームをする分には遅延も気にならず、音も非常に良いのでかなり良かったです。
専用アプリ【AKG Headphones】の主な機能
主な機能一覧
- ノイズコントロール
- イコライザー
- Personi-Fi
- 空間サウンド
- ビデオモード
- 操作カスタマイズ
- 装着検出 ON/OFF
- LDACのON/OFF
- 装着感テスト
- SilentNow*1
- スマートトーク*2
- サウンドレベルオプティマイザー*3
- ファームウェアアップデート
ホーム画面
オーディオ設定画面
その他の設定画面
*1 SilentNow
*2 スマートトーク
*3 サウンドレベルオプティマイザー
使って気付いた注意点まとめ
- 3台同時接続は出来ない
- LDACではビデオモードで低遅延の効果が得られない
- ハイレゾオーディオではPersoni-Fiや空間サウンドなどの機能は使えない
- ドングル接続時は再生/停止などの再生コントロールができない
- ドングル接続時に接続が勝手に切り替わってしまうことがある
- マルチポイントは割り込み不可
マルチポイントの挙動について。
端末Aで音を再生中に端末Bで音を出しても自動では切り替わりませんでした。
端末Aの音を止めてから端末Bで音を出す必要があります。
AKG N5 Hybrid 総評
メイン機能評価
音質 |
|
9.7/10 |
---|---|---|
ノイキャン |
|
9.5/10 |
外音取り込み |
|
9/10 |
装着感 |
|
9/10 |
使い勝手評価
操作性 | S・A・B・C・D |
---|---|
携帯性 | S・A・B・C・D |
便利機能 | S・A・B・C・D |
通話品質 | S・A・B・C・D |
総評:9/10
全部の機能を把握するのが難しいくらいの多機能イヤホン。
音質・ノイキャン・ヒアスルー・装着感・遅延・マイク性能とすべての性能が高いレベルにあり、値段も4万円超えが珍しくない最近のハイエンドTWSとしては好印象。
気になるのはドングル接続時の癖だけですね。
特にBluetooth接続とドングル接続が勝手に切り替わるのは結構ストレスなので、気になる場合はBluetoothはOFFにしてドングル接続だけで運用したほうが良いです。
ドングルの性質を理解した上で買う分には非常に良い選択肢となるでしょう。
今回は以上となります。
また次回のレビューでお会いしましょう。