- ワイヤレスとは思えない音の良さ
- 高音質なのに強力なノイズキャンセリング
- 細かいところに手が届く使い勝手の良さ
- 低遅延モードを起動するのに少し手間がかかる
- イヤホンケースのヒンジが弱そうなのが気になる
総合評価 |
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10/10 |
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TWSコレクターの猫居です。
今回レビューするのはTechnicsの完全ワイヤレスイヤホン、EAH-AZ80。
EAH-AZ60をブラッシュアップしたEAH-AZ60M2と共に発表されたTechnicsの新フラッグシップモデルですね。
2023年のNo1候補として非常に注目されていた本機。
音質・ノイキャンなどあらゆる性能で高いものが求められるわけですが、その実はどうなのか。
チェックしていきます。
Technics EAH-AZ80のスペック・外観チェック
スペック表
Technics EAH-AZ80 | |
価格 | 36,630円 |
連続再生時間 | 7時間(ノイキャンON/AAC 時) 24時間(ケース込) |
ドライバー | 10mm アルミ振動板 |
コーデック | SBC・AAC・LDAC |
防水性能 | IPX4 |
ノイキャン | ○ |
マルチポイント | ○ (3台同時接続) |
専用アプリ | ○ |
低遅延モード | ○ |
その他の機能 | Qiワイヤレス充電 急速充電(15分→70分再生) |
マルチポイントはこれまでなかった業界初の3台同時接続に対応。
ノイキャン・ハイレゾ再生・低遅延モード・イコライザーと今の完全ワイヤレスイヤホンに求められる便利機能は全て詰まっており、文句のない性能かと思います。
便利機能 | S・A・B・C・D |
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イヤホン本体
イヤホンケース
外箱・付属品
付属品リスト
- イヤーピース
- 充電用USB Type-Cケーブル
- 説明書類
Technics EAH-AZ80 測定データ
重さ・サイズ実測値
ケースサイズ | 縦:28.3mm 横:68.2mm 高さ:35.8mm |
重さ | イヤホン:6.1g ケース:47.4g |
イヤホンケースはとてもコンパクトで持ち運びやすいサイズ感です。
イヤホンは前作よりは小型化されているものの、そこそこのサイズ感と重量。
ただ耳にうまくフィットする構造のおかげか耳に入れた時、数値ほどの負担は感じません。
携帯性 | S・A・B・C・D |
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遅延測定結果
Android・PC その他 | iPhone | |
自動モード(室内) | 273ms(SBC) 270ms(LDAC) |
344ms(AAC) |
音途切れ抑制モード | 524ms(SBC) 520ms(LDAC) |
594ms(AAC) |
低遅延モード | 275ms(SBC) 182ms(LDAC) |
340ms(AAC) |
100ms=0.1秒です。
この測定環境ではスピーカー出力時52msの遅延を観測します。
結果から-52msした数値をワイヤレスイヤホン由来の遅延と考え表に記載しています。
- Android接続時=0.182~0.275秒の遅延
- iPhone接続時=0.34秒の遅延
モードの切替がアプリからしかできず、切り替えるたびに再起動して接続のやり直しが行われます。
ボタン操作で低遅延モードを起動できるイヤホンと比べるとかなり手間がかかる印象です。
また、SBCやAACでは低遅延モードの効果を実感できず測定でも数値に変化がほとんどありませんでした。
LDACで低遅延モードにした時以外はかなり大きな遅延を感じるでしょう。
LDAC+低遅延モードでもゲームをするとちょっともたつく感覚があると思います。
動画視聴はNetflixなどのサブスク系アプリではアプリ側で遅延補正してくれるので問題なく楽しめます。
ただ、iPhoneはYoutubeアプリの遅延補正が効かないのでブラウザから視聴する必要があります。
詳細⇒【iPhone】音ズレ対処法!BluetoothイヤホンでYouTube動画を観ると遅延が気になる問題の原因と解決策
交換イヤーピース対応表
SONY ハイブリッドイヤーピース(M) |
○ | AZLA SednaEarfit Crystal(M) |
○ |
SONY トリプルコンフォートイヤーピース(M) |
○ | final TYPE E(M) |
○ |
COMPLY TG-200 トゥルーグリップ(M) |
○ | Spinfit CP360(M) 後継→OMNI |
○ |
NUARL Magic Ear+(M) 後継→Magic Ear+7 |
○ |
(自分がよく使うTWSイヤーピース+SONYのイヤピ2種との対応表です)
どのイヤーピースも問題なく使用できました。
AZ80は種類豊富にイヤーピースが付属してくるのでまずは標準イヤピで合うものを探すのが良いんじゃないかと思います。
LDAC+ノイキャンON時の連続再生時間・電池残量の推移
- 30分再生⇒電池5%減少
- 1時間再生⇒電池17%減少
1時間で約17%の電池消耗。
後半に減りが早くなっていることも考慮するとLDAC+ノイキャンON時の連続再生時間は4.5時間前後といったところでしょうか。
Technics EAH-AZ80 詳細レビュー
音質評価
テクニクス有線フラグシップモデル『EAH-TZ700』のドライバーと同様のアルミ振動板、フリーエッジ構造を採用した直径10mmドライバーを搭載。
音はバランス良く、音場がかなり広いです。
高音は解像度高く非常に綺麗に伸びて繊細表現もバッチリ。
中音もとてもクリアで明瞭、空気感が非常に生々しいです。
低音は適度な量感。
締まりがあってレスポンスが非常に良いので小気味良く聴ける低音。
一聴モニターっぽく聴こえる感じがしますが、音の生々しさ・音が立ち上がって消えるまでのリアルさが淡白なモニターサウンドとは明らかに違い、高級なイヤホンで聴いている感覚がします。
AZ80のようにきちんと音の余韻を楽しむことの出来る完全ワイヤレスイヤホンはまだほとんどないでしょう。
非常に良い出来です。
音質 |
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9.7/10 |
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ノイズキャンセリング機能の比較
- フィードフォワード方式はデジタル演算処理を実施
- フィードバック方式はアナログ制御
デジタルとアナログ制御の組み合わせた、デュアルハイブリッドノイズキャンセリング機能を搭載。
業界最高クラスのノイズキャンセリング性能とのこと。
製品の発表ではAZ60より中高音のノイズ低減効果がUPしていることが謳われていましたが。
実際に試してみると確かにノイキャンの効きやすい低音ノイズだけでなく中高音ノイズに対してもかなり効果があることが実感できます。
いつものように手持ちのANCイヤホンとも比較していきます。
現時点で当ブログのノイズキャンセリングイヤホンのノイキャン強度ランキング1位のBose QuietComfort Earbuds IIと比較。
結果はQCE2のほうが全域に渡ってノイキャン効果は上のようです。
結構な差を感じます。
次にライバル視されるであろうSONY WF-1000XM4との比較。
WF-1000XM4のほうが中高音ノイズをよりカットできていて総合的には1枚WF-1000XM4のほうが上かなと感じます。
続いてこちらもライバル視されるであろうSennheiser Momentum True Wireless3とも比較。
今度はAZ80のほうが中高音ノイズを効果的にカットできているようです。
WF-1000XM4より↓でMTW3より↑という評価。
最強ではないけど最高クラスであるのは間違いないです。
非常によく効くノイズキャンセリングです。
(参考:Technics EAH-AZ80のノイズキャンセリングの強さをSONY WF-1000XM5など他社ANCイヤホンと比較)
ノイキャン |
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9.5/10 |
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外音取り込み機能の評価
外音取り込み機能は非常に優秀。
イヤホンをしたままイヤホンをしていないときと全く変わりないレベルの自然な外音が聞けます。
(デフォルトの外音取り込み量は80になっていますが、100にするとイヤホンをしていないときと変わらない自然さになります)
“ながら聴き”も問題なくできました。
↑画像のように外音取り込みに関する機能が豊富なのも素晴らしい点。
当たり前のようでこういったことがきちんとできているイヤホンはとても少ないので貴重です。
外音取り込み |
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9.5/10 |
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装着感評価
耳穴の周囲のくぼみであるコンチャ(耳甲介)にフィットするコンチャフィット形状を採用。
快適な装着感を実現したとのこと。
EAH-AZ80のネット広告では“極上の付け心地”みたいな感じで宣言しているのを見かけましたが…
AirPods ProやSONY LinkBuds Sのような着けているのを忘れるほどの装着感ではないです。
耳にイヤホンの存在感はしっかり感じます。
ただ、これだけのサイズ・重量のイヤホンで圧迫感を感じない付け心地なのは見事だと思います。
極上ではなく優良くらいの評価ですかね。
装着感 |
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8.5/10 |
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マイク性能・通話品質について
2つの高性能MEMSマイクと発話検知マイク、ノイズキャンセリング用マイク。
左右4つずつで合計8つのマイクを積んでいます。
実際に通話で使用してみると、非常にクリアな音声。
そして周囲のノイズカットも的確です。
風切り音にも強く、個人的にはほぼ完璧かなというマイク性能でした。
また、通話周りの機能も気の利いた作りになっています。
マルチポイントで三台同時接続可能ですし、ビジネス用途でも十分に使える通話性能です。
通話品質 | S・A・B・C・D |
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操作方法と操作性評価
L側 | R側 | |
1クリック | 再生/停止 | 再生/停止 |
2クリック | 音量DOWN | 曲送り |
3クリック | 音量UP | 曲戻し |
長押し | ボイスアシスタント | 外音コントロール |
基本操作は全てイヤホンから操作可能です。
↑画像のようにカスタマイズできる項目も豊富。
ほぼ自分の好み通りの設定に変更できるでしょう。
個人的には低遅延モードがイヤホンから操作できたらなお良かったかなと思いますが、使い勝手は抜群に良いです。
操作性 | S・A・B・C・D |
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3台同時接続可能なマルチポイント機能について
3台同時接続時はLDACでは接続できません。
おそらく接続が不安定になるためでしょう。
通常のTWSでは2台同時接続でもLDACが使用できないものも少なくないですが、AZ80は2台同時接続ではLDAC使用可能。
また、AZ80のマルチポイントは再生の割り込みが可能でした。
多くのマルチポイントTWSの場合はデバイスAで音楽を再生中なら、デバイスAの再生を止めてからでないとデバイスBで音を出すことができません。
AZ80の場合はデバイスAで音を出したままでもデバイスBで音を出し始めるとデバイスAの音は自動で停止します。
専用アプリ【Audio Connect】の主な機能
多機能ながら使いたい機能にすぐ手が届く作りになっています。
時にイラストを交えて説明が入っていたりと、使い勝手は抜群です。
以下、ここまで未紹介の主なアプリ機能となります。
ホーム画面
“探す”機能
イコライザー機能
目玉のダイレクトモード以外にも複数のプリセットとカスタムイコライザーが用意されています。
着脱検知機能
着脱時の挙動を制御可能です。
さらにイヤホンを外している間はタッチ操作を受け付けないようにすることも!
外したイヤホンを着けるときに誤タッチが生まれる率が非常に高いのでこの機能は本当に助かります。
こういう細かいところまで意識して作られているところに非常に好感が持てます。
使って気付いた注意点
使っていて特に不満に感じる点がない、非常に良くできたTWSです。
重箱の隅をつつくようですが、あえて挙げるとすれば…
ノイキャンの切り替えなどでタッチ操作したとき、操作ガイダンスがなぜか操作した方のイヤホンからしか聞こえない点ですかね。
普通は両方のイヤホンにガイダンスが流れるので、一瞬片方電源入っていないのかと思ってしまいそうかな?と。
総合評価
メイン機能評価
音質 |
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9.7/10 |
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ノイキャン |
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9.5/10 |
外音取り込み |
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9.5/10 |
装着感 |
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8.5/10 |
使い勝手評価
操作性 | S・A・B・C・D |
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携帯性 | S・A・B・C・D |
便利機能 | S・A・B・C・D |
通話品質 | S・A・B・C・D |
AZ80は音質とノイキャンが非常に高いレベルで両立している、現時点で最高評価にもっとも近い完全ワイヤレスイヤホン。
個人的には性能が素晴らしいだけでなく、細かい気遣いのきいた使い勝手の良さもポイントだと思っています。
- 誤タッチが起きないようにイヤホンを外している時はタッチ操作を無効化できる
- 通話時のノイズカット強度を調整可能(強すぎると声の小さい人は自分の声までカットされてしまうことがあるため)
- 外音取り込み時、音楽を停止するかどうか選択可能
こういった点ですね。
色々な項目を自分でどうするか選べるというのがポイントなんです。
例えば外音取り込み時。
音楽が停止して欲しい人もいれば流したままにしたい人もいるわけで、そのへんの自由度が非常に高いのが良いと思います。
音良し・ノイキャン良し・使い勝手良し。
非常におすすめです。
今回は以上となります。
また次回のレビューでお会いしましょう。