- 音質・ノイキャン共に最高クラス
- 前作から装着感が劇的に良くなった
- SONY独自の便利機能が満載
- イヤホンが滑りやすい
- イヤーピースの選択肢が少ない
総合評価 |
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10/10 |
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TWSコレクターの猫居です。
今回レビューするのはSONYの完全ワイヤレスイヤホン、WF-1000XM5。
ノイズキャンセリング世界最高を謳うハイエンドTWSです。
前作WF-1000XM4は音質とノイズキャンセリング機能を高い次元で両立した傑作。
TWS界を牽引してきたといっても過言ではない名機でした。
- そんなWF-1000XM4の後継機であること
- 定価41,800円と値段も大幅にUPしたこと
これらを考慮するとWF-1000XM5に寄せられる期待はどうしたって高くなってしまいますよね。
- 前作WF-1000XM4と比較してどの程度パワーアップしているのか
- 同じく世界最高ANCを謳うBose QuietComfort Earbuds IIとどちらが凄いノイキャンなのか
- Technics EAH-AZ80とどちらが2023年最高の完全ワイヤレスイヤホンになるのか
多くの期待と注目を集める本作。
実際にWF-1000XM4やQCE 2・AZ80などと比較しながら音質や各機能を評価・チェックしていきます。
SONY WF-1000XM5のスペック・外観チェック
前作とのスペック比較表
(価格は2023/9/03時点でのAmazon販売価格)
WF-1000XM5 (Amazonリンク) |
WF-1000XM4 (Amazonリンク) |
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価格 | 38,000円 | 26,500円 |
連続再生時間 | 12時間 36時間(ケース込) |
12時間 36時間(ケース込) |
ドライバー | 8.4mm ダイナミック | 6mm ダイナミック |
コーデック | SBC AAC LDAC LC3 |
SBC AAC LDAC |
防水性能 | IPX4 | IPX4 |
ノイキャン | ○ | ○ |
マルチポイント | ○ | ○ |
専用アプリ | ○ | ○ |
低遅延モード | ✕ | ✕ |
機能 | 急速充電(3分→1時間) ワイヤレス充電 Google Fast Pair Swift Pair DSEE Extreme クイックアテンション スピーク・トゥ・チャット アダプティブサウンドコントロール イコライザー |
急速充電(5分→1時間) ワイヤレス充電 Google Fast Pair Swift Pair DSEE Extreme クイックアテンション スピーク・トゥ・チャット アダプティブサウンドコントロール イコライザー |
その他の違い
- 「ダイナミックドライバーX」と呼ばれる8.4mmの新ドライバーユニットを搭載
- イヤホンを約25%小型化
- 総合プロセッサーがV1からV2へとバージョンアップ
- ノイズキャンセリングプロセッサーQN2eを搭載し、前作より20%強力なノイズキャンセリング機能を実現
機能性は数ある完全ワイヤレスイヤホンの中でもTOPクラス。
圧縮音源をハイレゾ相当にアップスケーリングする『DSEE Extreme』などの豊富な独自機能を数多く有しています。
ただ機能面はWF-1000XM4ですでに完成された感があり、大きな変化はありません。
目立ちにくいポイントですが、イヤホン・ケース共に小型軽量化されたのに前作と同等の連続再生時間をキープしているのは大きいですね。
便利機能 | S・A・B・C・D |
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イヤホン本体
イヤホンケース
外箱・付属品
付属品リスト
- イヤーピース
- 充電用ケーブル
- 説明書類
SONY WF-1000XM5 測定データ
重さ・サイズ実測値
ケースサイズ | 縦:26.5mm 横:64.5mm 高さ:39.9mm 三辺合計:130.9mm |
重さ | イヤホン:5.8g ケース:36.5g |
WF-1000XM4はイヤホン片方7.1gでした。
その差僅かに1.3gほどですが…
実際に手に持つと随分軽く、コンパクトになったと感じます。
持ち運びに非常に便利です。
携帯性 | S・A・B・C・D |
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遅延測定結果
Android・PC その他 | iPhone | |
通常時 | 232ms(LDAC)・254ms(SBC) | 312ms(AAC) |
低遅延時 | - | - |
100ms=0.1秒です。
この測定環境ではスピーカー出力時52msの遅延を観測します。
結果から-52msした数値をワイヤレスイヤホン由来の遅延と考え表に記載しています。
WF-1000XM5はLE Audioに対応しているため低遅延と謳われているLC3でも接続できますが、自分は環境が無いので測定できていません。
なので従来コーデックで接続した場合の話となりますが、現状ではまだほとんど使えるスマホがないので多くの方はLDACやAACで接続するのではないかと思います。
- LDACでは約0.232秒
- SBCでは約0.254秒
- AACでは約0.312秒
という結果。
低遅延モードが無いのでゲームをするのはやや厳しい遅延です。
動画視聴はNetflixなどアプリ側で遅延補正が入るサブスク系サービスでの視聴は問題ありません。
(iPhoneでYoutubeアプリを使う場合を除く)
詳細⇒【iPhone】音ズレ対処法!BluetoothイヤホンでYouTube動画を観ると遅延が気になる問題の原因と解決策
なお、ライバル機となるAZ80は低遅延モードを搭載していますが、遅延の具合は実はそれほど変わりませんでした。
⇒AZ80の遅延:182ms(LDAC)/275ms(SBC)/340ms(AAC)
ゲームをするにはやや厳しくアプリ側で遅延補正される動画の視聴は問題ない、と使用できる範囲も同程度です。
交換イヤーピース対応表
SONY ハイブリッドイヤーピース(M) |
- | AZLA SednaEarfit Crystal(M) |
- |
SONY トリプルコンフォートイヤーピース(M) |
- | final TYPE E(M) |
- |
COMPLY TG-200 トゥルーグリップ(M) |
- | Spinfit CP360(M) |
- |
NUARL Magic Ear+(M) |
- | 日本ディックス COREIR BRASS(M) |
- |
(自分がよく使うイヤーピースとの対応表です)
WF-1000XM5はフィルターがイヤーピース側についています。
そのため、イヤーピースの選択肢は非常に少ないです。
デフォルトがフォーム系のイヤーピースなのでフォーム系は苦手という方はAZLA SednaEarfit MAXなどのシリコンタイプでフィルター付きのイヤーピースを選ぶと良いでしょう。
SONY WF-1000XM5 詳細レビュー
音質評価
前作WF-1000XM4と比較して解像度はかなりアップしています。
音の傾向もややドンシャリ気味でハキハキとしたリスニング向きなサウンドに変化。
低音域は量感、深み共に増してかなりパワフルになりました。
ドライバーサイズがアップした影響もあるでしょうか、余裕を持って鳴らせている印象です。
中音域は明瞭度がUP。
元々情感表現が上手なイヤホンでしたが、WF-1000XM5でもその点は健在。
ややドンシャリ傾向となった本作でもボーカルは凹まずしっかり表現できています。
WF-1000XM4の高音域は最新の高音質TWSと比べてやや暗いのが気になるところでしたが、比較するとだいぶ明るく見通しの良いものになりました。
全体的に前作から順当に音質UPしていると感じます。
前作が淡白でつまらないと感じた方も今作は楽しめるのではないでしょうか。
一方でドンシャリよりフラット傾向が好みという方にはライバルTWSのTechnics EAH-AZ80の方が合うかもしれません。
低音の迫力や臨場感はWF-1000XM5の方に分があり、高音の明瞭感、空気感や繊細な表現力はAZ80の方に分があります。
ノリ良く聴けるWF-1000XM5か均整の取れたサウンドのAZ80かといった感じです。
個人的にはAZ80の方が好みですが、曲やアーティストによって使い分けていこうかなと考えています。
音質 |
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9.6/10 |
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ノイズキャンセリング機能の比較
前作WF-1000XM4も非常に強力なノイズキャンセリング機能でしたが、それを20%上回る機能となっているそうです。
実際に使用比較してみると確かに低音ノイズを中心にさらにノイズカット効果がUPしています。
WF-1000XM4も総合的なノイズカット効果はいまだTOPクラスですが、WF-1000XM5はさらにワンランク上の消音力です。
AirPods Pro 2と比べても低~中音ノイズのカット効果はほぼ同等程度ですが、高音のノイズカット効果は明らかにWF-1000XM5が上。
全域に渡って他を寄せ付けないノイズキャンセリング効果になったと言えますね。
BoseのQuietComfort Ultra Earbuds / QuietComfort Earbuds IIの存在を除けば…。
もちろん人によって違いはあるかと思いますが、少なくとも自分が試した限りではQCE 2の方が明らかにノイズカットが効いていると感じました。
WF-1000XM5の方が後発なだけにちょっと肩透かしを食った感はありますが、非常に強力なノイズキャンセリングなのは間違いありません。
(参考:世界最高?SONY WF-1000XM5のノイズキャンセリングの強さをBoseやAirPods Proなど他社ANCイヤホンと比較)
ノイキャン |
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10/10 |
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外音取り込み機能の評価
かなり自然な外音取り込み機能です。
WF-1000XM4と比較すると高音のカサつきが抑えられてより自然なヒアスルーに近づいたと感じます。
ただこの分野ではやはりイヤホンをしているのを忘れるほど自然な外音取り込みのAirPods Pro 2が最強。
WF-1000XM5はアプリで外音を取り込む量を調整することができます。
デフォルトはMAXの『20』となっていますが、『20』だと高音が僅かにカサつく感じ。
気になる場合は『16』~『18』くらいまで下げてあげると違和感がなくなると思います。
下げても外音を聞くには十分の音量を確保できます。
外音取り込み |
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9.5/10 |
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装着感評価
装着感は前作から1番進化したポイントと言っても過言ではないくらい良化しています。
イヤホン本体を耳との接触面で支える「エルゴノミック・サーフェス・デザイン」により、耳の内側にフィットする曲線形状を採用したとのこと。
WF-1000XM4はノイズキャンセリング効果を高めるためか、かなり密閉感の強い装着感でした。
イヤホン自体も大きく、耳に詰め物をしている感じです。
それに比べてWF-1000XM5は本当に耳にすっと入っていく感覚。
それでいてフィット感・安定性も抜群。
激しく運動しても全く問題ないでしょう。
運動などにも使いたい場合はAZ80よりWF-1000XM5の方が向いていると思います。
装着感 |
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9/10 |
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マイク性能・通話品質について
ノイズ処理が優秀。
話し声は減衰させず周囲の雑音をうまく抑えてくれます。
風切り音にも強く、扇風機を風量MAXで当てても問題なく通話可能でした。
声もクリアにはっきりと相手に届いていました。
しかし、機械で処理した感があるのは前作から相変わらず。
リアルな生声とはなんだかちょっと違うと感じると思います。
通話自体は快適でストレスを感じません。
通話品質 | S・A・B・C・D |
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操作方法と操作性評価
L側 | R側 | |
1クリック | モード切替 ・ノイズキャンセリング ・外音取り込み機能 |
再生/停止 |
2クリック | - | 曲送り |
3クリック | - | 曲戻し |
長押し | クイックアテンション | ボイスアシスタント |
リピートタップ (4タップ以上) |
音量ダウン (タップするほど-) |
音量アップ (タップするほど+) |
WF-1000XM4では実質的に音量操作は端末側で行うしかありませんでした。
WF-1000XM5ではリピートタップとして音量操作が割り当てられています。
これにより全ての基本操作をイヤホンから行うことが出来るように。
最初は音量調整に4タップはだるいし中々うまく反応しないなぁと思っていましたが…
コツがありました!
1・2・3・4と数えてタップするんでなく、ひたすら連打です 笑
連打しまくっても一気に音量が動いてしまって行き過ぎてしまうことはありません。
タップした数に依らず一定間隔で音量が変化していくので好みの音量になるまでとにかく連打。
一気に音量の上げ下げができるので慣れると快適です。
操作性 | S・A・B・C・D |
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専用アプリ【Headphones Connect】の主な機能
WF-1000XM5で使える主な機能
- イコライザー
- ファインド・ユア・イコライザー
- アダプティブサウンドコントロール
- スピーク・トゥ・チャット
- クイックアテンション
- DSEE Extreme
- 装着感テスト
- ヘッドジェスチャー
ホーム画面
アダプティブサウンドコントロール
動きに応じてノイキャンと外音取り込みが自動で切り替わるように設定したり
近所のコンビニでは外音取り込みON、など特定の場所に入ると自動で切り替わるように設定することができます。
スピーク・トゥ・チャット
自分の話し声に反応して自動で外音取り込み機能がONになり、手動でモードを切り替えることなく会話が出来るという機能です。
クイックアテンション
イヤホンに指を当てている間だけ外音取り込み機能がONになります。
駅でアナウンスを聞きたいときなど、一瞬だけ外音取り込みをONにしたいときに便利な機能です。
ヘッドジェスチャー
使って気付いた注意点まとめ
- イヤホンの側面が滑りやすいので注意
- 音量操作はボタン連打でOK
- LDACで接続するには『音質優先モード』
- マルチポイントは割り込み可能
1.
イヤホンの側面が本当に滑りやすいです。
決して安くはないものなので落として傷つけたり失くしたりしないように気をつけましょう。
2.
イヤホンのタッチ部分を4タップで音量調整ですが、1・2・3・4と行儀よく数えてタップしてもなんだかうまくいきません。
(違う操作になってしまったり)
コツは数なんて数えずとにかく連打です。
連打した数に依らず一定間隔で音量変化するので一気に上げ下げしてしまうことはありません。
好みの音量になるまでひたすら連打してみてください、きっとうまくいきます。
3.
LDACで接続するにはアプリのBluetooth接続品質の項目で『音質優先』にする必要があります。
4.
割り込みを許可するかどうかもアプリで変更可能です。
総合評価と代替候補について
メイン機能評価
音質 |
|
9.6/10 |
---|---|---|
ノイキャン |
|
10/10 |
外音取り込み |
|
9.5/10 |
装着感 |
|
9/10 |
使い勝手評価
操作性 | S・A・B・C・D |
---|---|
携帯性 | S・A・B・C・D |
便利機能 | S・A・B・C・D |
通話品質 | S・A・B・C・D |
総評
SONY WF-1000XM5はこんな方におすすめです。
- 音質・ノイキャンどちらもハイレベルなものが良い
- SONYらしいノリの良いサウンドが好み
- ノイキャン切り替えの自動化など、SONYの独自機能の惹かれる
名機だった前作WF-1000XM4からあらゆる面で順当に進化しています。
WF-1000XM3→WF-1000XM4のような劇的なパワーアップはありませんが…。
しかし実際に使い込んでみるとやはり優秀なんですよね。
Boseまではいかなくても他のノイキャンTWSよりは明らかに優秀で音質もTOPクラス。
装着感も前作よりとても良くなっているのでスキのない完成度の高さだと思います。
代替候補について
同様に総合力の高いTWSにTechnics EAH-AZ80とゼンハイザー MOMENTUM True Wireless 3があります。
これらと比べるとWF-1000XM5はノイキャンがかなり優秀です。
総合力で特にノイキャンを重視する場合はWF-1000XM5で間違いないでしょう。
音質に関しては
- フラットなAZ80
- 生音感が強いMTW3
- ノリの良いドンシャリ傾向なWF-1000XM5
好みで選べば良いかと思います。
ノイキャン至上主義な方は明らかにBose QuietComfort Ultra Earbudsの方が強力だと思うのでこちらの方がおすすめです。
今回は以上となります。
また次回のレビューでお会いしましょう。