Bowers & Wilkins Pi6 | |
発売日 | 2024年9月13日 |
価格 (発売時) |
45,100円 |
連続再生時間 (単体/ケース込) |
ANC ON 8時間/24時間 |
コーデック | SBC/AAC/aptX/aptX Adaptive |
ドライバー | 12mmダイナミックドライバー |
防水性能 | IP54 |
Bluetooth Ver. | 5.4 |
機能 | ノイズキャンセリング・外音取り込み機能・マルチポイント・着脱検知・イコライザー・専用アプリ・急速充電(15分→2時間) |
資料 | 公式サイト/説明書(英語) |
- 価格帯最高クラスの高音質
- フィット感良く肌触りの良い装着感
- 完全ワイヤレスイヤホンに欲しい機能がシンプルに実用レベルで備わっている
- 高級機ながらワイヤレス充電非対応
- イコライザーと操作方法のカスタマイズ性に欠ける
総合評価 |
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9/10 |
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こんにちは、猫居です。
趣味で完全ワイヤレスイヤホン(TWS)を集めています。
今回レビューするのはBowers & WilkinsのTWS、Pi6。
約7万円するPi8の下位モデルですね。
高級スピーカーメーカーのBowers & Wilkinsだけあって非常に高価ですが、Pi6はお値段的には他のオーディオメーカーのハイエンドTWSと同程度~ちょっとお高いくらいの価格。
Pi8と比べれば手に取りやすい価格であると同時にライバルが多いとも言えます。
実力の程やいかに、というわけで実際にライバルとなりそうなイヤホンと使い比べしてみました。
今回も先に総評から紹介します。
より詳細な内容は目次以降をご覧ください。
本レビューはメーカー様よりサンプルをご提供いただいております。執筆料などはいただいておらず、自由にレビューさせていただくことを条件にお引き受けしています。
総評 |
9/10点 柔らかくも艷やかな音を鳴らす上質なサウンド。 |
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音質 | 9.8/10 | 便利機能 | SABCD |
ノイキャン | 8.5/10 | 携帯性 | SABCD |
外音取り込み | 8.5/10 | 操作性 | SABCD |
装着感 | 9/10 | 通話性能 | SABCD |
- Bowers & Wilkins Pi6 外観・付属品チェック
- Bowers & Wilkins Pi6 測定データ
- Bowers & Wilkins Pi6 詳細レビュー
- Bowers & Wilkins Pi6 総評
Bowers & Wilkins Pi6 外観・付属品チェック
イヤホン本体
タッチセンサー式。
下に写真を乗せていますが、色味は手のひらに乗せてる方が実物に近いです。
イヤーフックと一体型になったような形状で、突起している部分がシリコンになっています。
【画像5枚:スクロールバーorスワイプでスライド出来ます】
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イヤホンケース
イヤホンケースはワイヤレス充電には非対応。
値段を考えると対応して欲しかったですね。
シンプルでおしゃれなのですが、手脂がつきやすいのがちょっと気になりました。
【画像5枚:スクロールバーorスワイプでスライド出来ます】
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外箱・付属品
付属品リスト
- イヤーピース
- 充電用 USB Type-C ケーブル
- 説明書類
Bowers & Wilkins Pi6 測定データ
重さ・サイズ実測値
ケースサイズ | 縦:52.0mm 横:65.3mm 高さ:29.0mm 三辺合計:146.3mm |
重さ | イヤホン:6.8g ケース:44.1g |
イヤホン・イヤホンケース共に比較的コンパクトな部類。
イヤホンは中身がつまっている感じで大きさの割にそこそこの重量。最近の平均的な重さ(5gくらい)よりやや重いです。
携帯性 | S・A・B・C・D |
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(参考:小さい順|完全ワイヤレスイヤホン・イヤホンケースサイズ比較表)
遅延測定結果
Android・PC その他 | iPhone | |
通常時 | 240ms(SBC) 276ms(AAC) 240ms(aptX) 354ms(aptX Adaptive/高音質モード) |
276ms(AAC) |
低遅延時 | - | - |
100ms=0.1秒です。
この測定環境ではスピーカー出力時21msの遅延を観測します。
結果から-21msした数値をワイヤレスイヤホン由来の遅延と考え表に記載しています。
任意に切り替えることの出来る低遅延モードはありません。
SBCやAACで使う場合はそこそこの遅延があり、ゲームに使うのは厳しいでしょう。
動画視聴はNetflixなどアプリ側で遅延補正してくれるものは問題ありません。
aptX Adaptiveで接続する場合は自動で100ms前後の遅延になる低遅延モードに切り替わるので音ゲー以外のゲームや動画は問題なく楽しめると思います。
(aptX Adaptiveには内部的に高音質モードと低遅延モードがあり、音声ソースに応じて自動で切り替わります。任意に切り替えることは基本的には出来ません)
実連続再生時間のチェック・バッテリー残量の推移
ノイズキャンセリングON・aptX Adaptive・音量30%で再生
- 1時間再生=電池残量79%
- 2時間再生=電池残量62%
- 3時間再生=電池残量44%
- 4時間再生=電池残量28%
- 5時間再生=電池残量7%
- 5時間25分再生=電池残量0%
連続再生時間の公称値はAACやSBCでの結果が記載されるのが一般的ですが、aptX Adaptiveではどうかというところでテスト。
音楽を再生し続けること5時間25分30秒ほどで電池残量が0となりました。
普通に使う分には充分な再生時間だと思います。
補足
音量は40%だと大きいと感じるくらいだったので30%でテストしました。
交換イヤーピース対応表
SONY ハイブリッドイヤーピース(M) |
○ | AZLA SednaEarfit Crystal(M) |
○ |
SONY トリプルコンフォートイヤーピース(M) |
○ | final TYPE E(M) |
○ |
オーディオテクニカ AT-ER500(M) |
○ | Spinfit OMNI |
○ |
NUARL Magic Ear+7 |
○ | 日本ディックス COREIR BRASS(M) |
○ |
COMPLY TG-200 トゥルーグリップ(M) |
- |
TWSで最近主流の楕円形ノズルでは無く丸型。
ノズルがかなり短く、どのイヤーピースも一応入るけど耳にいれるとあんまりフィットしないという感じでした。
個人的にはフィット感・音質ともに標準にイヤーピースが1番良いと思います。
Bowers & Wilkins Pi6 詳細レビュー
音質評価
個人的にかなり好きな音でした。
柔らかくも艷やかな音を鳴らす、非常に上質なサウンド。
音のバランスがとても良く、音場は広大です。
-残響感が心地良い、ゆったりとした広がりのある低音
-中音は非常に解像感が高く、適切な距離感で表現力の高いボーカルも秀逸
-刺激感の無い自然で伸びやかな高音
低音は既存のハイエンドTWSにあまりなかった鳴り方をしますね。
深み(WF-1000XM5/MTW4)、キレ(AZ80/N5 Hybrid)、迫力(QCUE/TOUR PRO 3)などを追求したものはありますが、Pi6のそれはゆったりとしていて非常に優雅な雰囲気を感じさせる低音です。
中音・高音も明瞭なのにカラッとしすぎない柔らかさがあって聴き疲れしません。
例えばTechnics AZ80やAKG N5 Hybridはまさにカラッとした音ですが、Pi6はそこに柔らかさがプラスされ、その分だけ少しウォーム寄りに聴こえるといった感じ。
音のバランスが良いのでどんな音楽も鳴らせますが、早い曲よりはスローな曲の方が真価を発揮すると思います。
4万前後の価格帯ではTOPクラスに良い音ではないでしょうか。
アプリのイコライザー画面
低音と高音の2バンド調整可能。
自分で細かく調整したいという方にはやや物足りない内容でしょうか。
音質 |
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9.8/10 |
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ノイズキャンセリング機能の比較
アプリのノイズコントロール切り替え画面
Pi6のノイズキャンセリングは低音ノイズを効果的にカット。
中音・高音のノイキャンが効きにくいノイズにはそこまで効きません。
室内で生じるちょっとしたノイズなら無音に近いところまで消せて、電車など大きなノイズもある程度効果的にカットしてくれます。
他のANCイヤホンと比べてみると、最上級のノイキャン(Bose QCUEやSONY WF-1000XM5など)には及びません。
他社ハイエンドTWSの高性能ノイキャン(MTW4/AZ80/N5 Hybrid/TOUR PRO3等)と比べても少しノイズを通してしまう印象でした。
自分がつけているノイキャン比較表でいうと、-40dB評価のノイキャンよりは高い消音力。
-45dB評価のものよりはやや低く、-43dB評価のものとほぼ同じくらいの効き目でした。
最高とは言えないけれど、結構強力なノイズキャンセリングなので実用的に使っていけます。
(参考:Bowers & Wilkins Pi6のノイズキャンセリングを他社ANCイヤホンと比較|ノイキャン強度比較表)
ノイキャン |
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8.5/10 |
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外音取り込み機能の評価
外音取り込み機能はイヤホンをしていないときより若干音量が上がって聞こえるタイプ。
空調などの僅かなノイズも大きめに拾ってしまうため、静かな部屋で外音取り込みをONにすると少しノイジーに感じるかもしれません。
ただ、人の声はとても聞きやすいです。
音量控えめなら音楽を聴きながらでも他の人が何を喋っているのか聞き取れますし。
こちらも実用的に使っていける機能に仕上がっていると思います。
外音取り込み |
|
8.5/10 |
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装着感評価
装着時の見た目
ピタッと吸い付くようにハマる装着感で個人的には凄く良いと感じました。
Pi6はイヤーフックが一体化したような形状で、僅かに突起している部分がシリコンで出来ています。
この突起部分とイヤーピースが主に耳に触れる箇所になるのでゴツゴツした肌あたりが無く、それでいてしっかりフィットしてくれる感覚。
非常に良好な着け心地です。
装着感 |
|
9/10 |
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マイク性能・通話品質
静かな場所では問題なく通話可能です。
ただ、値段を考えるとマイクの性能はそれほど高いとは言えないように感じました。
通話時の声はややザラつき気味。
風切音や周囲の騒音は割としっかりと処理してくれますが、その際に声も少し乱れて聞き取りにくくなります。
通話で使う際にはなるべく静かなところを選ぶと良さそうです。
通話品質 | S・A・B・C・D |
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操作方法と操作性評価
L側 | R側 | |
1タップ |
再生/停止 | 再生/停止 |
2タップ |
曲送り | 曲送り |
3タップ |
曲戻し | 曲戻し |
長押し (カスタマイズ可) |
ノイズコントール | ノイズコントロール |
長押しのみカスタマイズ可能。
カスタマイズといっても【ノイズコントロール】or【音量調整】のどちらかを選択するという限られたものですが。
個人的にはノイズコントロール(ノイキャンと外音取り込みの切り替え)は外せないので音量はスマホ側から操作する感じで使っています。
タッチセンサーの感度は良好で基本操作は問題なく操作可能なので、もう少し柔軟にカスタマイズできると嬉しかったですね。
操作性 | S・A・B・C・D |
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専用アプリ【Music | Bowers & Wilkins】の主な機能
主な機能一覧
- ノイズコントロール
- イコライザー
- 操作方法のカスタマイズ
- 着脱検知のON/OFF
- ファームウェアアップデート
ホーム画面
使って気付いた注意点
感度の良すぎる着脱検知機能
着脱検知機能はイヤホンを耳から外すと自動で曲を停止し、着け直すと自動で再生を再開する便利な機能。
Pi6の着脱検知は感度が非常に良く、イヤホンを外せばすぐに停止し、着けた瞬間に再生が再開されます。
しかし、それがデメリットにもなっていて、イヤーピース付近を手で覆ったりテーブルにイヤホンを置いただけで装着中と判断されて再生が再開されてしまいます。
気になる場合は着脱検知をOFFにすればOKですが、せっかくの便利機能なので使いたいですよね。
自分はイヤーピース側をつまむようイヤホンを持たない・テーブルに置く際はイヤーピース側を上にして置く、という感じで誤反応しないように使っています。
マルチポイントは割り込み不可
マルチポイントの挙動について。
Pi6のマルチポイントは割り込み再生不可でした。
Bowers & Wilkins Pi6 総評
メイン機能評価
音質 |
|
9.8/10 |
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ノイキャン |
|
8.5/10 |
外音取り込み |
|
8.5/10 |
装着感 |
|
9/10 |
使い勝手評価
操作性 | S・A・B・C・D |
---|---|
携帯性 | S・A・B・C・D |
便利機能 | S・A・B・C・D |
通話品質 | S・A・B・C・D |
総評:9/10
Bowers & Wilkins Pi6は優雅なリスニングを可能とする、上質で高音質な完全ワイヤレスイヤホン。
ノイズキャンセリング、外音取り込み、マルチポイントといった完全ワイヤレスイヤホンに備わっていて欲しい機能は実用レベルで実装されており、普通に使えるTWSとしてきちんと仕上がっています。
ただ、最近のハイエンド機には聴力テストを通じた音質最適化機能や空間オーディオ機能など様々な機能が追加されてきているので、それらに比べれば機能的には物足りないかもしれません。
逆にそういうのはいらないっていう人にはシンプルで使いやすい、純粋に音質を追求したモデルとして非常に魅力的だと思います。
ただ、好意的にみても以下の2点はどうにかしてほしかったですね。
- ワイヤレス充電に非対応な点
- 操作方法とイコライザーのカスタマイズ性が乏しい点
そこだけあらかじめ理解したうえで購入すれば音質重視のTWSとしてとても良い選択肢となると思います。
良い音です!
今回は以上となります。
また次回のレビューでお会いしましょう。