- 総合力が高く、特に装着感は最上級の良さ
- セミオープン型にも関わらず非常に強力なノイキャン
- Dolby Atmos音源や動画視聴時の空間オーディオが素晴らしい
- イヤホンケースは値段の割に普通
- Dolby Atmos以外の音源では空間オーディオが微妙
総合評価 |
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10/10 |
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こんにちは、猫居です。
今回レビューするのは2023年10月12日発売(全国販売は11月9日)の完全ワイヤレスイヤホン、Jabra Elite 10。
珍しいセミオープン型を採用した、1日中着けっぱなしにしていられる快適性能が売りの1つとなっているハイエンドTWSです。
同日発売のワークアウト向きTWS、Elite 8 Activeとはまた違ったコンセプトと言えます。
機能面ではANC(アクティブノイズキャンセリング)機能やヘッドトラッキング可能な空間オーディオ機能を搭載し、2台同時接続可能なマルチポイントにも対応。
密閉型でないセミオープン型でノイキャン性能はどうなのか、低音はきちんと出るのか…等、色々と気になる部分も多い本作。
僕が実際に使って感じたことをお伝えしていきます。
Jabra Elite 10のスペック・外観チェック
スペック表と特徴
Elite 10 | |
価格 | 39,600円 |
連続再生時間 | ANC OFF 8時間 36時間(ケース込) ANC ON 6時間 27時間(ケース込) |
ドライバー | 10mm |
コーデック | SBC / AAC LC3 / LC3+ (対応予定) |
防水性能 | IP57 |
ノイキャン | ○ |
マルチポイント | ○ |
専用アプリ | ○ |
低遅延モード | - |
その他の機能 | ワイヤレス充電 急速充電(15分→1時間) 着脱検知 空間オーディオ Google Fast Pair Swift Pair |
説明書 | Elite 10 データシート(PDF) |
特徴
- セミオープンデザイン:密閉式に比べて圧迫感が少なく、一日中快適に装着できるJabra史上もっとも快適な着け心地。
- 62,000 の耳の形状検証データを基に Jabra 独自の楕円形イヤージェルを設計。どんな耳の形状にも合わせてしっかりとフィット。
- 空間サウンド:Dolby ヘッドトラッキングを備えた、最先端の空間サウンドを採用し、臨場感あふれる Dolby Atmos 体験を実現。
- Jabra アドバンスト ANC:Jabra の標準ANCの約2倍強力なノイズキャンセリング機能を搭載。周囲の音に合わせて自動的に強度を調整。
- 6-マイクテクノロジー:6つのマイクが周囲の雑音を識別し、通話の声だけを拾うのでビジネスシーンでも利用できるクリアな通話が可能。
- 2台同時接続可能なマルチポイントに対応。
- Android端末と素早く接続できるFast Pair、WindowsPCと素早く接続できるSwift Pairに対応。
便利機能 | S・A・B・C・D |
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外観・内容物のチェック
イヤホン本体
ボタン部分以外のほぼ全面がシリコンカバーで覆われていて、柔らかくしっとりとした触り心地。
耳当たりも非常に良いです。
イヤホンケース
写真が下手で白っぽい色合いに見えますが、実際はもう少しクリーム色です。
デザインや質感が悪い訳では無いんですが、4万円近くする物なのでもう少し高級感やアクセントがあっても良いような気がします。
外箱・付属品
付属品リスト
- イヤージェル
- 充電用ケーブル
- 保証 & 警告リーフレット
Jabra Elite 10 測定データ
重さ・サイズ実測値
ケースサイズ | 縦:46.8mm 横:65.4mm 高さ:24.4mm 三辺合計:136.6mm |
重さ | イヤホン:5.6g ケース:46.0g |
ぱっと見のサイズ感は平均的に見えますが、三辺合計値は少なめでコンパクトな部類に入ります。
厚みがあまりないのでポケットへの収まりが良いです。
イヤホンはややコンパクトで重量は平均的といったところかと思います。
(参考:小さい順|完全ワイヤレスイヤホン・ケースサイズ比較表)
携帯性 | S・A・B・C・D |
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遅延測定結果
Android・PC その他 | iPhone | |
通常時 | 281ms(SBC) | 320ms(AAC) |
低遅延時 |
100ms=0.1秒です。
この測定環境ではスピーカー出力時21msの遅延を観測します。
結果から-21msした数値をワイヤレスイヤホン由来の遅延と考え表に記載しています。
- Androidでの遅延=約0.281秒
- iPhoneでの遅延=約0.32秒
遅延はやや大きめです。
ゲームをするには厳しい値かと思います。
動画視聴に関してはYoutubeやNetflixといったアプリ側で遅延補正されるものは問題ありません。(iPhoneでYoutubeアプリを使う場合を除く⇒詳細)
なお、Elite 10は今後のアップデートでLE Audioに対応予定。
LE Audioで接続できるようになれば約0.07秒ほどの低遅延になる可能性があります。(他の実機での計測値)
交換イヤーピース対応表
SONY ハイブリッドイヤーピース(M) |
○ | AZLA SednaEarfit Crystal(M) |
○ |
SONY トリプルコンフォートイヤーピース(M) |
○ | final TYPE E(M) |
○ |
COMPLY TG-200 トゥルーグリップ(M) |
- | Spinfit CP360(M) 後継→OMNI |
○ |
NUARL Magic Ear+(M) |
- | 日本ディックス COREIR BRASS(M) |
- |
(自分がよく使うイヤーピースとの対応表です)
三角形のノズルに特殊形状のイヤージェルが標準装備なので一般的なイヤーピースはハマらないかな?と思っていたのですが、割りと入りました。
ただ、標準装備の装着感がめちゃくちゃ良いのでわざわざ他のイヤーピースを使う必要はあまりなさそうです。
イヤージェルがどうしても合わなかった時の選択肢という感じでしょうか。
Jabra Elite 10 詳細レビュー
音質評価
Jabraらしいバランスの取れた良質なサウンド。
ハイレゾコーデックには対応していませんが、そんなことは関係ないと言わんばかりの高音質。
音場が広く、刺々しさのない柔らかい音です。
低音はセミオープン型ながらしっかりとした量感があります。
響きの良さが絶品で、迫力重視のElite 8 Activeの低音とは違った良さを感じます。
ただ重低音はElite 8 Activeほどは出ません。
アプリで低音を持ち上げてもElite 8 Activeのような深みのある重低音とはいかないので、重低音が欲しい場合はElite 8 Activeの方がいいかもです。
中音も厚みがしっかりあり、低音部との分離感良く癖のない鳴り方。
ボーカルのポジションはやや前かがみなElite 8 Activeに対してElite 10はニュートラル寄りかと思います。
高音は明るく伸びやか。
カナル型にはない、セミオープン型ならではの抜けの良さが特徴的。
Elite 8 Activeよりかなり優れている部分だと思います。
総じて落ち着いてじっくりとリスニングするのに適したサウンドで、兄弟機Elite 8 Activeのノリ・迫力重視の聴き心地とはまた違った音の傾向にあると言えます。
Elite 10は高音の明瞭感と音の広がり・柔らかさに利点があり、Elite 8 Activeはスピード感あるキレの良さや低音の深みに利点があると感じました。
タイプの全然違う音なのでどちらが好みかで選ぶと良いでしょう。
音質 |
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9.5/10 |
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空間オーディオについて
空間オーディオの切り替えはアプリから行います
ヘッドトラッキングをONにすると音像が所定の位置に固定され、右を向けば左から、後ろを向けば後方から音が聴こえてくるようになります。
Dolby Atmos音源ではしっかりとした指向性と広がりが感じられ、音のバランスも崩れることなく良好。
臨場感あるサウンドが楽しめます。
ただ、Dolby Atmos以外の楽曲で空間オーディオを使うのは微妙。
一応どんな音源でも空間オーディオになるのですが、Dolby Atmosでない音源だと凄くチープな感じになります。
Youtubeなどの動画視聴では良い感じだったので、Dolby Atmos音源や動画視聴に使うのが良いかなと思います。
ヘッドトラッキングがある分、臨場感はElite 8 Activeより上。
Dolby Atmos音源ではAirPods Pro 2と遜色ないくらい、Bose QuietComfort Ultra Earbudsには劣るかなという評価です。
【参考】
Dolby Atmos対応の音楽サブスク
- Apple Music=Dolby Atmos対応スマホが必要
- Amazon Music Unlimited=どんなスマホでもOK
ノイズキャンセリング機能の比較
Elite10にはJabraの標準ANCの2倍の効果を謳うANCが搭載されています。
その標準ANCにあたるElite 4 Activeと実際に比べてみると、たしかに全然違います。
セミオープンとは思えないほど強力なノイキャンです。
色々なANCイヤホンと比較。
低音ノイズと高音ノイズに効果的で、ほとんどのカナル型ANCイヤホンよりElite 10の方がカットできていました。
人の声などの中音はWF-1000XM4の方が効く印象。
総合的にはWF-1000XM4以上、BOSE QuietComfort Ultra EarbudsやWF-1000XM5にはやや劣るかなと。
AirPods Pro 2とほぼ同程度と言える、業界でも最上位クラスのノイキャンです。
装着感の軽いセミオープン型でこれほどのノイキャンというのは驚きました。
凄いです。
(参考:Jabra Elite 10のノイズキャンセリングの強さを他社ANCイヤホンと比較)
ノイキャン |
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10/10 |
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外音取り込み機能の評価
アプリで外音取り込み量を調節可能
セミオープン型ということもあり、自然な外音が取り込めます。
会話などはイヤホンをしていないときと全く変わらない感覚で聞くことができました。
ただ、外音取り込み量MAXだとサーっというマイクで拾ったようなノイズが少し入ります。
2段階ほど取り込み量を下げてあげると違和感が随分減るように感じました。
その場合も人の声は十分聞き取り可能です。
外音取り込み時に音楽を流し続けるか、ミュートにするかも選択可能
【一時停止】ではない点に注意
外音取り込み |
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9/10 |
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装着感評価
カナル型と違い、耳を完全には塞がないので閉塞感なく非常に軽いつけ心地です。
インナーイヤーに近いような軽さでありつつ、きちんと安定感があって外れてしまいそうになることもありません。
個人的に200以上の完全ワイヤレスイヤホンを使ってきましたが、その中でも装着感はベストに近いですね。
AirPods Pro 2やNUARL NEXT1に並ぶ快適さ。
最高です。
装着感 |
|
10/10 |
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マイク性能・通話品質について
声はクリアで自然な聞こえ方です。
通話相手にもかなり好評で、聞きやすいと言ってもらえました。
ただ、風切り音には弱め。
ワークアウトでの使用を想定しているからか、風切り音にはElite 8 Activeの方が強かったです。
ヘッドセットで有名なJabraだけあって通話関連の機能・設定項目が豊富に用意されています。
通話品質 | S・A・B・C・D |
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操作方法と操作性評価
L側 | R側 | |
1クリック | ノイズコントロール | 再生/停止 |
2クリック | 音声アシスタント | 曲送り |
3クリック | - | 曲戻し |
長押し | 音量- | 音量+ |
【操作の割り当てが可能な箇所と割り当てられるアクション】
すべての基本操作をイヤホンから行うことができます。
また、物理ボタン式なので押し間違いが無いのも◎。
操作カスタマイズは「長押し」以外の左右3箇所に好みの操作を割り振る事ができます。
個人的には音声アシスタントを3クリックにして、曲送り・曲戻しを左右の2クリック目で揃えてあげたほうが使いやすいかなと感じました。
ノイズコントロールの切り替えパターンも選択可能
操作性 | S・A・B・C・D |
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専用アプリ【Jabra Sound+】の主な機能
主な機能一覧
- ノイズコントロール
- 空間オーディオのON/OFF
- イコライザー
- 操作カスタマイズ
- サウンドスケープ
- 『探す』機能
- 着脱検知のON/OFF
- 通話設定
ホーム画面
サウンドスケープ
ノイズやヒーリングサウンドをアプリで再生可能
作業に集中したい時などに有用です
『探す』機能
着脱検知のON/OFF
使って気付いた注意点 まとめ
- マルチポイントは割り込み不可
- 空間オーディオはDolby Atmos音源か動画視聴時におすすめ
1.
マルチポイント対応TWSの中には割り込みできるものもありますが、Elite 10では出来ませんでした。
2.
Elite 10の空間オーディオ機能ではどんな音源も空間オーディオとして再生可能ですが、Dolby Atmos以外の曲では正直イマイチな効果でした。
Dolby Atmos音源や動画視聴に使うと臨場感を楽しめます。
Elite 8 Active との主な違い
Elite 10の利点
- 空間オーディオ性能(ヘッドトラッキング)
- 強力なノイズキャンセリング
- 音場の広さ・音の柔らかさ・高音の明瞭感
- 耳への負担が少ない、抜群に軽い装着感
Elite 8 Activeの利点
- 価格
- プールでも使える防水性能
- 重低音・キレの良さ
- 安定感と軽さを両立した装着感
総合評価
メイン機能評価
音質 |
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9.5/10 |
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ノイキャン |
|
10/10 |
外音取り込み |
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9/10 |
装着感 |
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10/10 |
使い勝手評価
操作性 | S・A・B・C・D |
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携帯性 | S・A・B・C・D |
便利機能 | S・A・B・C・D |
通話品質 | S・A・B・C・D |
総評
Jabra Elite 10はこんな方におすすめです。
- 総合力の高い、使い勝手の良いTWSを探している
- カナル型が苦手、軽いつけ心地が好み
- 強力なノイズキャンセリング機能が欲しい
Elite 10は総合力に優れたフラッグシップモデルに相応しいイヤホンです。
定価約4万円は完全ワイヤレスイヤホンとしてはかなり高額な部類に入ります。
この値段なら総合力の高いTWSは他にいくつか思いつきますが、装着感の良さは圧倒的にElite 10が優れています。
AirPods Proと比肩するほど快適な装着感。
音質はAirPods Proとは比較にならないほど良いですし、セミオープンにも関わらずノイキャンもAirPods Pro並。
(外音取り込み機能はAirPods Proの方が優れていますが…)
また、誤操作の無い物理ボタン式TWSとしても総合力TOPといえますね。
総合力を求める中でも特に装着感を大事にしたいという方におすすめです。
今回は以上となります。
また次回のレビューでお会いしましょう。