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TWSコレクターによるイヤホン/ヘッドホン レビューブログ

SONY LinkBuds Fit レビュー|Bose QuietComfort EarbudsやWF-1000XM5と使用比較【WF-LS910N】

Author:猫居こうた

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SONY LinkBuds Fit

  SONY LinkBuds Fit
発売日 2024年11月15日
価格
(発売時)
29,700円
連続再生時間
(単体/ケース込)
ANC OFF
8時間/30時間
ANC ON

5.5時間/21時間
コーデック SBC/AAC/LDAC/LC3
ドライバー 8.4mmダイナミックドライバーX
防水性能 IPX4
Bluetooth Ver. 5.3
機能 ノイズキャンセリング・外音取り込み機能・マルチポイント・イコライザー・専用アプリ・着脱検知・急速充電(5分→1時間)・Google Fast Pair・Microsoft Swift Pair
資料 公式サイト/説明書
  • このイヤホン1つで“ながら聴き”も“集中聴き”もこなせる
  • 圧迫感の無い非常に軽い着け心地
  • “ながら聴き”をサポートするSONYの独自機能が便利
  • ノイキャンは値段の割にあまり強力とはいえない
  • ブラックだとイヤホンはホコリが目立ち、ケースも安っぽく見えるので他のカラーが良いかも…
総合評価
 
9/10

こんにちは、猫居です。

趣味で完全ワイヤレスイヤホン(TWS)を集めています。

今回レビューするのはSONYの完全ワイヤレスイヤホン、LinkBuds Fit。

“ながら聴き”性能にこだわったLinkBudsシリーズの穴の空いていないほうですね。

  • 穴あき型=LinkBuds・LinkBuds Open
  • 穴なし型(ノイキャン搭載)=LinkBuds S・LinkBuds Fit

穴あき型の方は初代のLinkBudsも新作のOpenも完成度的にまだまだかなと思ったので購入には至らず。

コンセプトは面白いと思うのでもう少し装着感やら洗練されれば魅力的なイヤホンになると思うのですが…

それはさておき、本題のLinkBuds Fitについてですが、LinkBuds Sの単純なバージョンアップというわけでは無いようですね。

SONY史上最高の外音取り込み機能を売りにしていることから、より“ながら聴き”性能にこだわったものとなっている模様。

ハイエンドモデルWF-1000XM5と同じ統合プロセッサーV2とダイナミックドライバーXを搭載しているそうなので、音質やノイキャンもハイレベルなものが期待されるところですが、どうなのか。

試聴なしの予約購入なのでダメだったら痛いです。

WF-1000XM5や同価格帯のライバルBose QuietComfort Earbuds(第2世代)などと使い比べてチェックしていきます。

今回も先に総評から紹介します。

より詳細な内容は目次以降をご覧ください。

総評

9/10点

弱ドンシャリで明るい軽やかな音を鳴らすイヤホンです。同じプロセッサー・ドライバーを使っているハイエンドのWF-1000XM5と比べると、低音がWF-1000XM5ほど深いところまで出ないなど、お値段分だけ音質はしっかり下がっている印象でした。しかし、同価格帯のライバルBose QCEより解像感や分離感は良く、2万円台では充分戦える音質だと思います。
一方でノイキャンは最近の基準ではあまり強力とはいえません。最強クラスのノイキャンを誇るWF-1000XM5やQCEとは比較にならないくらいなので、2万円台でノイキャン重視ならQCEの方が絶対に良いです。
“ながら聴き”モデルだけあって外音取り込み機能と装着感はWF-1000XM5より良く、AppleのAirPods Proに負けず劣らずの優秀さ。
“ながら聴き”できるだけのイヤホンは他にもたくさんありますが、外音取り込みやBGMエフェクトをONにすれば“ながら聴き”、ノイズキャンセリングをONにすれば“集中聴き”と1つでどちらもこなせるイヤホンはそうありません。
そういった意味でLinkBuds Fitは“ながら聴き”を楽しみたい方にとって有力な選択肢となると思います。
ノイキャンがもっと強力なものだったなら音楽への没入感がUPしてよりよい体験になったと思うので、そこが惜しいところですね。
普通のノイキャンイヤホンとしても高性能、“ながら聴き”イヤホンとしても高性能。そんなイヤホンだったら10点つけてもよかったかなと言う感じです。

音質 9.1/10 便利機能 SABCD
ノイキャン 7/10 携帯性 SABCD
外音取り込み 10/10 操作性 SABCD
装着感 9.5/10 通話性能 SABCD

SONY LinkBuds Fit 外観・付属品チェック

イヤホン本体

タッチセンサー式。

正面側は大部分がシリコンのフィッティングサポーターで覆われています。

ホコリがつきやすく、黒だと目立つので結構気になったり。

ブラック以外のカラーにすればよかったかなぁとちょっと後悔しました。

【画像5枚:スクロールバーorスワイプでスライド出来ます】

 

イヤホンケース

イヤホンケースはワイヤレス充電非対応。

黒だと指紋が目立ち、値段の割に安っぽく見えます。

大理石カラーのグリーンかホワイトにしておけば…。

【画像5枚:スクロールバーorスワイプでスライド出来ます】

 

外箱・付属品

SONY LinkBuds Fit 外箱・付属品

付属品リスト

  • イヤーピース
  • 充電用 USB Type-C ケーブル
  • 説明書類

SONY LinkBuds Fit 測定データ

重さ・サイズ実測値

SONY LinkBuds Fit サイズ・重量

ケースサイズ 縦:47.5mm
横:47.5mm
高さ:32.8mm
三辺合計:127.8mm
重さ イヤホン:4.7g
ケース:39.1g

手のひらで覆い隠せるくらいのとてもコンパクトなイヤホンケースです。

イヤホンはフィッティングサポーター込みにしては軽いほうかもですが、総量ではごくごく平均的な重量。

携帯性 S・A・B・C・D

(参考:小さい順|完全ワイヤレスイヤホン・イヤホンケースサイズ比較表)

遅延測定結果

SONY LinkBuds Fit 遅延測定結果

  Android・PC その他 iPhone
通常時 234ms(SBC)
268ms(AAC)
241ms(aptX)
72ms(LC3)
268ms(AAC)
低遅延時 - -

100ms=0.1秒です。
この測定環境ではスピーカー出力時21msの遅延を観測します。
結果から-21msした数値をワイヤレスイヤホン由来の遅延と考え表に記載しています。

低遅延モードはありませんが、LE Audioで接続することで超低遅延になります。

この時の遅延は非常に小さく、音ゲーも人によってはOKと感じるかもです。ダメと思う人もいると思いますが。

もちろん普通のゲームや動画視聴は全く問題ありません。

逆に通常接続では結構遅延大きめ。

ゲームに使うのは厳しいでしょう。

動画視聴はNetflixなどアプリ側で遅延補正してくれるものは問題ありません。

実連続再生時間のチェック・バッテリー残量の推移

SONY LinkBuds Fit バッテリーチェック

DSEE Extreme OFF・ノイズキャンセリングON・LDAC・音量40%で再生

  • 1時間再生=電池残量79%
  • 2時間再生=電池残量59%
  • 3時間再生=電池残量21%
  • 3時間44分再生=電池残量0%

連続再生時間公称値は5時間半ですが、LDACで再生すると3時間44分ほど再生したところで電池切れとなりました。

最近はLDACでも長時間再生できるイヤホンが出てきているのでちょっと物足りないですかね。

アップスケーリング機能DSEE ExtremeをONにすると更に減ると思います。

交換イヤーピース対応表

SONY LinkBuds Fit 交換イヤーピース

SONY
ハイブリッドイヤーピース(M)
- AZLA
SednaEarfit Crystal(M)
SONY
トリプルコンフォートイヤーピース(M)
- final
TYPE E(M)
-
オーディオテクニカ
AT-ER500
(M)
Spinfit
OMNI
NUARL
Magic Ear+7
日本ディックス
COREIR BRASS(M)
-
COMPLY
TG-200 トゥルーグリップ(M)
-    

非常にノズルが浅いので入らないイヤーピースが多かったです。

また、LinkBuds Fitは耳穴の入口に置くような感じで装着するのでフォームタイプのイヤーピースは本来の性能を発揮できないように思います。

SONY LinkBuds Fit 詳細レビュー

SONY LinkBuds Fit

音質評価

弱ドンシャリで明るい音色です。

やや低音の量感多めですかね。

WF-1000XM5と聴き比べると音の傾向は似ているものの、“ながら聴き”モデルだからか軽快なサウンドに仕上がっているように感じました。

低音は量感があってハキハキとなるのですが、WF-1000XM5ほど深いところまでは出ないかなと。

中音もWF-1000XM5ほどの濃度はなく、ボーカルもやや俯瞰的で色気とかはあまり感じません。

高音もWF-1000XM5の方が明瞭で伸びが良いですね。

同じプロセッサー・ドライバーを使っていることを売りにしていますが、音質に関してはしっかりお値段分の差がつけられていると感じました。

とはいえ、同価格帯のBose QuietComfort Earbudsよりは良い音だと思います。

低音はさすがにBoseの方が良いですが、LinkBuds Fitのほうが解像度や分離感に優れており普通にこちらの方が良いなという感想です。

3万以上のハイエンドクラスのTWSには劣るけれど2万円台では充分戦えるくらいの音質といった感じですね。

アプリのイコライザー画面

ファインド・ユア・イコライザー機能
好みの音を選んでいくと最適なバランスのイコライザー設定にしてくれます

通常のプリセット&カスタムイコライザー

音質
 
9.1/10

ノイズキャンセリング機能の比較

アプリのノイズコントロール画面
ANC強度を切り替えることは出来ません

LinkBuds Fitのノイズキャンセリングは最近の基準では正直あまり強いとは言えないです。

WF-1000XM5はもちろんのこと、同価格帯のBose QuietComfort Earbudsともかなりの差を感じますね。

最近は1万円以下でも結構強力なANCイヤホンが出ていますが、それらよりも弱いくらい。

2世代前のWF-1000XM3とかと同レベルといった感じ。

とはいえ室内で生じる小さなノイズは十分カットできますし、電車など大きな騒音もそれなりに遠ざける効果はあります。

1万円台のSONY WF-C700Nのようにほとんど効かないノイキャンってことはないです。

ただ、SONY製品でハイエンドと同じプロセッサーだからといって強力なノイキャンを期待してしまうとがっかりすると思います。

この価格帯でノイキャン重視ならやはりBose QuietComfort Earbudsの方がおすすめです。

(参考:SONY LinkBuds Fitのノイズキャンセリングを他社ANCイヤホンと比較|ノイキャン強度比較表)
最強がわかる!ノイズキャンセリングイヤホンの強さ比較ランキング

ノイキャン
 
7/10

外音取り込み機能の評価

外音取り込みは色々調整可能となっています

“ながら聴き”特化イヤホンなだけあって外音取り込み機能はWF-1000XM5やBose QCEよりも優秀です。

イヤホンをしていないと全く遜色無い感じで人の声などを聞くことができます。

若干余計なノイズはカットしているようで、周りの雑音…主に低音ノイズは抑えつつ人の声など必要な音はしっかり拾ってくれる感じ。

完全にイヤホンをしていないときと同じ聞こえ方という意味ではAirPods Proの方が自然ではありますが、余計なノイズまではいらないという方にはLinkBuds Fitの方が良いでしょう。

自分はAirPods Proのイヤホンをしていることを忘れそうになるくらい自然な外音取り込みが好みですが、LinkBuds Fitもすごく優秀です。

詳しくは後述しますが、音楽の聴こえ方まで“ながら聴き”に最適化してくれる【BGMエフェクト】という機能もあり、“ながら聴き”用TWSとして最高峰の存在と言えそうです。

外音取り込み
 
10/10

装着感評価

SONY LinkBuds Fit 装着時の見た目

装着時の見た目

独自のフィッティングサポーターのおかげで非常に浅い位置でフィットするイヤホンです。

耳穴の入口にポンと置いているだけって感じで安定するので圧迫感が全然ありません。

普通ではありえない位置で安定するので最初は違和感が凄かったのですが…

慣れればとても快適に使えると思います。

これをつけたあとに普通のカナル型イヤホンをつけると圧迫感を強く感じるくらいに快適な着け心地です。

“ながら聴き”に適した装着感と言えます。

装着感
 
9.5/10

マイク性能・通話品質

音声はクリアで自然な声色です。

周囲のノイズや風切音の処理もかなり上手いと思います。

普通はノイズ処理の際に声も圧迫されてボワついた感じになりがちなんですが、LinkBuds Fitは声がぼやけず。

周りのうるさい音を的確にカットしてくれるので快適な通話が可能です。

通話品質 S・A・B・C・D

操作方法と操作性評価

操作方式のカスタマイズ画面
デフォルト設定

細かくカスタマイズできる仕様ではなく、特定の操作パターンを左右に割り振る方式。

JBLもこの方式で、同価格帯のLIVE BUDS 3も同様です。

再生コントロールとノイズコントロールは外せないので実質的にデフォルトのまま使うことになると思います。

あまり自由度は高いと言えず、イヤホンから曲戻しが出来ないのが痛いです。

これだけだったらマイナス評価するところでしたが…。

【ワイドエリアタップ】という耳の周辺、例えば下顎のあたりをタップするとイヤホンが反応するという機能が中々に良かったです。

感度は『標準』だとあまり正確に反応してくれなかったので『高』がおすすめ。

イヤホンに直接触れる必要なく、肌をトントンするだけで操作できるのでマイナス分を帳消しにするくらいには便利です。

操作性 S・A・B・C・D

SONYの独自機能やLE Audioについて

LE Audio接続

LE AudioをONにすると上の画像のように多数の機能が制限されます。

また、ペアリングも一旦削除して再ペアリングしないといけないなど、切り替えるのがかなり億劫な仕様となっています。

超低遅延なのは良いのですがゲームモードのように気軽にON/OFF切り替えられる感じではないですね…。

DSEE Extreme

https://www.sony.jp/headphone/products/LinkBuds_Fit/index.html

SONYのBluetooth製品では以前からおなじみの機能。

この機能をONにすれば圧縮音源もハイレゾ相当で聴くことができます。

BGMエフェクト

こちらは新機能。

遠くから音が聴こえ、BGMとして音楽が聴けるようになります。

通常、外音取り込み機能をONにしても音量が大きければ外音と混じって人の声などはどうしても聞き取りにくくなります。

しかし、この機能をONにすれば耳の外側から音楽が流れてくる感じで音楽を聴けるので人の声などが混じりにくくなります。

音の距離感も調整可能で、

画像のように3パターンから選択することができます。

『マイルーム』が1番距離が近く、違和感も少ないです。

『リビング』『カフェ』と遠ざかるほどに音が混じらなくなって周囲の音を聞きやすくなりますが、違和感も距離に応じて増していくのが難点。

1番距離が近い『マイルーム』でもONとOFFでは聞き取りやすさがだいぶ違うので“ながら聴き”のしやすいがグンとUPします。

「音楽に没入したいのか、BGMとして聴きたいのか」ONとOFFで聴き方が明確に切り替わる感じが面白いです。

アダプティブサウンドコントロール

行動や場所に応じてノイキャン・外音取り込みを自動で切り替えてくれる機能。

近所のコンビニに近付いたら外音取り込みがONになるとか電車の走行中はノイズキャンセリングONとか。

手動で切り替える必要なくオートでノイズをコントロールしてくれる非常に便利な機能です。

スピーク・トゥ・チャット

自分の話し声に反応して外音取り込み機能がONになります。

ON/OFF切り替えはもちろん、感度も設定可能。

専用アプリ【Sound Connect】の主な機能

主な機能一覧

  • ノイズコントロール
  • イコライザー
  • 操作方法のカスタマイズ
  • アダプティブサウンドコントロール
  • スピーク・トゥ・チャット
  • BGMエフェクト
  • DESS Extreme
  • 着脱検知のON/OFF
  • ワイドエリアタップ
  • 装着感テスト
  • マルチポイント
  • ファームウェアアップデート

ホーム画面

 

サウンド設定

 

システム設定

SONY LinkBuds Fit 総評

SONY LinkBuds Fit

メイン機能評価

音質
 
9.1/10
ノイキャン
 
7/10
外音取り込み
 
10/10
装着感
 
9.5/10

使い勝手評価

操作性 S・A・B・C・D
携帯性 S・A・B・C・D
便利機能 S・A・B・C・D
通話品質 S・A・B・C・D

総評:9/10

Bose QCEやWF-1000XM5との比較結果

  • 音質はWF-1000XM5>LinkBuds Fit>Boese QCE
  • Fitのノイキャンは他2つとは比較にならないくらい弱い
  • 外音取り込み性能はFitが1番良い
  • 装着感もFitが1番良い
  • “ながら聴き”をサポートするSONY独自の便利機能が良い

ノイキャンが値段の割にイマイチってところ以外は概ね良かったかなという印象です。

“ながら聴き”用として耳を塞がないオープンイヤー型のイヤホンがけっこう流行っていますが、そんな中でも“ながら聴き”と“集中聴き”の両方を1つでこなせるのがLinkBuds Fitの強みですよね。

これでノイキャンがしっかり効くものだったなら、より音楽への没入感がアップして“ながら聴き”と“集中聴き”の切り替えが上手なイヤホンになったと思うのですが。

そのへんは2、3年後?次回作があればそれに期待といったところでしょうか。

今回は以上となります。

また次回のレビューでお会いしましょう。