JBL TOUR PRO 3 | |
発売日 | 2024年10月3日 |
価格 (発売時) |
42,900円 |
連続再生時間 (単体/ケース込) |
ANC OFF 11時間/44時間 ANC ON 8時間/32時間 |
コーデック | SBC/AAC/LDAC/LC3(対応予定) |
ドライバー | 10mmダイナミックドライバー + バランスド・アーマチュアドライバー |
防水性能 | IP55 |
Bluetooth Ver. | 5.3 |
機能 | スマートタッチディスプレイ・トランスミッター・マルチポイント・ノイズキャンセリング・外音取り込み・イコライザー・空間オーディオ・専用アプリ・着脱検知機能・ワイヤレス充電・急速充電(10分→3時間)・Google Fast Pair・Microsoft Swift Pair |
資料 | 公式サイト/説明書(PDF) |
総合評価 |
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9.5/10 |
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更新日:2024年10月22日
こんにちは、猫居です。
趣味で完全ワイヤレスイヤホン(TWS)を集めています。
今回レビューするのはJBLのTWS、TOUR PRO 3。
最近イヤホンケースにディスプレイを搭載することで他社製品と差別化を測っているJBLのハイエンドTWSとなります。
前作にあたるTOUR PRO 2は個人的にはハイエンドとしてはちょっと音質的に物足りないところがありつつも、値段もハイエンドにしてはえらい安かったので総合的なコストパフォーマンスは良いなぁというイヤホンでした。
今作ではJBL初のハイブリッドドライバーを搭載することで音質的な強化をはかったようです。
値段も他社ハイエンドTWSと遜色のないものとなり、音質面でどれだけレベルアップしているのか注目されるところでしょう。
他のイヤホンと使い比べて各機能の性能をチェックしていきます。
JBL TOUR PRO 3 外観・付属品チェック
イヤホン本体
タッチセンサー式。
最近のイヤホンとしてはやや大ぶりですが、抜群の装着感を実現するオーバルシェイプデザインは健在。
【画像5枚:スクロールバーorスワイプでスライド出来ます】
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イヤホンケース
イヤホンケースはスマートタッチディスプレイを採用。
ディスプレイサイズが前作より約29%大きくなったことで画面が見やすくなりました。
ワイヤレス充電・急速充電にも対応しています。
【画像5枚:スクロールバーorスワイプでスライド出来ます】
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外箱・付属品
付属品リスト
- イヤーピース(シリコンタイプ5サイズ)
- イヤーピース(フォームタイプ1サイズ)
- USB Type-C to Type-C ケーブル
- USB Type-C to アナログ3.5mmケーブル
- 充電用 USB Type-C ケーブル
- 説明書類
JBL TOUR PRO 3 測定データ
重さ・サイズ実測値
ケースサイズ | 縦:56.8mm 横:61.1mm 高さ:29.8mm 三辺合計:147.7mm |
重さ | イヤホン:5.5g ケース:71.8g |
イヤホンは見た目の割にそれほど重くなく、標準の範囲内。
イヤホンケースはスマートタッチディスプレイを搭載していることもあってかなり重めです。
サイズ感はぎりぎり邪魔にならない程度に収まっていますが、結構厚みがあるのでポケットにいれると存在感はありますね。
携帯性 | S・A・B・C・D |
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(参考:小さい順|完全ワイヤレスイヤホン・イヤホンケースサイズ比較表)
遅延測定結果
Bluetooth接続時
Android・PC その他 | iPhone | |
通常時 | 337ms(SBC) 375ms(AAC) 332ms(LDAC) |
375ms(AAC) |
低遅延時 | 178ms(SBC) 218ms(AAC) 328ms(LDAC) |
218ms(AAC) |
100ms=0.1秒です。
この測定環境ではスピーカー出力時21msの遅延を観測します。
結果から-21msした数値をワイヤレスイヤホン由来の遅延と考え表に記載しています。
アプリでビデオモードにすることで低遅延に切り替えることができます。
ただ、LDACではビデオモードにしてもほぼ遅延が減っていませんでした。
SBCやAACでもゲームに使うには少し厳し目な数値。
動画視聴に関してはYoutubeやNetflixなど、アプリ側で遅延補正してくれるものは問題なく楽しめます。
トランスミッター接続時
約0.085秒の遅延。
トランスミッター接続時はLC3 Plusコーデックで伝送されるとのことで、非常に低遅延になります。
ワイヤレス環境で演奏合わせをするには遅延0.08秒以下に抑える必要があると言われていますが、それに近い数値。
ゲームや動画視聴でストレスを感じること無く使えるでしょう。
交換イヤーピース対応表
SONY ハイブリッドイヤーピース(M) |
○ | AZLA SednaEarfit Crystal(M) |
○ |
SONY トリプルコンフォートイヤーピース(M) |
- | final TYPE E(M) |
○ |
オーディオテクニカ AT-ER500(M) |
- | Spinfit OMNI |
△ |
NUARL Magic Ear+7 |
- | 日本ディックス COREIR BRASS(M) |
△ |
COMPLY TG-200 トゥルーグリップ(M) |
- |
ノズルが独自の形状+かなり大きめということもあって普通のイヤーピースとは適合しにくいです。
装着できたものも個人的にはデフォルトのイヤーピースに大きく劣る装着感で使うことはないだろうなという感じでした。
COREIRとOMNIは一応装着できましたが、ケース内でイヤーピースがぐにゃっと潰れる感じで収納されるので△としてあります。ケース自体は普通に閉じることが出来ます。
JBL TOUR PRO 3 詳細レビュー
音質評価
JBLらしい明るく元気の良いサウンドですが、ドンシャリ具合はいつもよりやや抑え気味でハイエンドらしさも感じられます。
前作はかなり低音のボリューム感に耳がいく音でしたが、今作は若干引き締まって抑え気味に。それでもフラット傾向のTechnics EAH-AZ80や低音域に重心のあるSONY WF-1000XM5よりは量感があり、やや広がりのある低音。量感はかなりあります。
中音もとても厚みがあります。前作よりかなり解像度があがっている印象。前のめり気味な低音・高音に比べて割とニュートラルな立ち位置で、AZ80などと比べても少し後方で鳴る印象。ただ、ボーカルの輪郭がとてもくっきりとして明瞭なため、存在感はしっかりあり、量感のある低音域に紛れること無く心地良く聴けます。
高音はBAドライバーの恩恵が大きいようで、前作では暗くなりがちだったものが明確に改善されました。WF-1000XM5よりかなり明瞭で、AZ80と同質くらいに質の高い高音。
また、デフォルトでもよく出る低音なのですが、イコライザーで低音を持ち上げるとえげつないほど野太い低音を余裕を持って出すこともできたりと、ハイブリッドドライバーのポテンシャルの高さを感じることが出来ます。
非常に良い感じにハイエンドに相応しい高音質イヤホンになったと思います。
プリセット&カスタムイコライザーも搭載
音質 |
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9.7/10 |
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空間サウンド(空間オーディオ)機能について
ヘッドトラッキング機能が追加
前作TOUR PRO 2の空間オーディオ機能は無理やり音場を広げたような不自然さが際立って全く使う機会がありませんでしたが、今作ではかなり改善されています。
ヘッドトラッキング機能が追加されたことで、音像をはっきり意識できるようになりました。(右を向けば左から、後ろを向けば後ろから音が聞こえる)
曲によってはちょっとボーカルが浮いて聴こえたり音がチープに聴こえたりすることもありますが、空間オーディオ機能を搭載したTWSの中では違和感はかなり少なめだと思います。
音場感は映画館やライブ会場で聴いているようだ!と言えるような大袈裟なものではありませんが、音が頭の外から聴こえてくる感覚が確かにあって臨場感を味わえます。
LDAC接続中に使えない機能について
ハイレゾコーデックであるLDACで接続すると以下の機能が使えなくなります。
聴力テストを通じて音質を最適化するPersoni-Fiとハイレゾが共存できないのは残念ですが、LDAC対応機種ならLDAC・未対応ならPersoni-Fiという感じで使い分けるといいかなと思います。
ノイズキャンセリング機能を比較
アダプティブノイズキャンセリング機能を搭載
手動で強度を設定することもできます
ノイズキャンセリング機能はTOUR PRO 2からはかなりの進化。
低音ノイズだけでなく、中音以上のノイキャンが効きにくいノイズもしっかり低減してくれます。
総合力に優れるTechnics EAH-AZ80のANCより低音ノイズをよりカットできており、ハイエンドTWSとして十分なノイキャン性能を有していると思います。
ただ、Bose QuietComfort Ultra EarbudsやSONY WF-1000XM5のような最上級のノイキャンにはまだ及ばないですね。
同じハーマンのAKG N5 Hybridとほぼ同等の性能のANCだと思います。
また、付属のフォームタイプのイヤーチップを装着することでさらにノイキャン性能を上げることが出来ます。
フォームタイプ装着時はさらに消音力が上がってWF-1000XM4よりわずかに上かな?ゼンハイザー Momentum True Wireless 4とほぼ同程度かな?という感じの消音力でした。
イヤーチップを変えてもサウンドバランスが崩れないよう最適化できます
ここが普通のイヤホンに自分で用意したウレタンチップを装着するのとは違うところ
(参考:JBL TOUR PRO 3のノイズキャンセリングを他社ANCイヤホンと比較|ノイキャン強度比較表)
ノイキャン |
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9.5/10 |
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外音取り込み機能の評価
外音の取り込み量を7段階調整可能
外音取り込み量をアプリで調整できます。
イヤホンをしていないときと比べて少しカサついた音になりますが、イヤホンをしたまま人の声を聞くには十分な取り込み量です。
従来のJBLのヒアスルー機能は外音取り込み量MAXだとやや余計なノイズを拾いすぎるところがあり、少し取り込み量を下げて使うと良いですよって感じでレビューしていましたが、今作は取り込み量MAXでもそれほど違和感無く使えます。
また、通常の外音取り込み機能(アンビエントアウェア)に加えて人と会話するとき用のトークスルーモードが用意されています。
モード名通り、こちらのほうがより人の声を鮮明に取り込めるようです。
イヤホンをしたまま人の声やアナウンスを聞くだけなら通常モードでも充分ですが、会話までする場合はトークスルーの方が快適でした。
アンビエントアウェア / トークスルー
2種類の外音取り込みモードを搭載
外音取り込み |
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9/10 |
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装着感評価
装着時の見た目
耳穴によくフィットするオーバルシェイプデザインで装着感はとても良いです。
耳穴の手前の溝にピタッと収まる感じでしっかりフィットするのに圧迫感はほとんど感じず快適。
ただイヤホン自体は結構大きめなので、耳がすごく小さい人は少し圧迫感を感じるかもしれないです。
装着時の軽さを重視する場合はスマートタッチディスプレイ搭載モデルならJBL LIVE BUDS 3の方が良いと思います。
装着感 |
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9/10 |
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スマートタッチディスプレイについて
様々な機能をアプリを開くこと無く設定できます
ガジェット好きにはたまらない機能。
様々な機能をアプリを介さずにイヤホンケースから操作することが出来ます。
ただ、前にスマートタッチディスプレイについてレビューしたときも同じようなこと書きましたが、めちゃくちゃ便利ってわけじゃないです。
「あれば便利」くらいの便利さ。
低遅延モードであるビデオモードとコーデックの選択がディスプレイから出来ないのが残念。
特に空間サウンドにするにはLDACをOFFにしなければならないので、LDACのON/OFFはあったほうがいいんじゃないかなと思います。
ディスプレイの設定画面
画面に表示させる機能も選択可能です
トランスミッター機能について
Aux⇔Type-C / Type-C⇔Type-C / Type-A⇔Type-Cのケーブルがそれぞれ付属
付属のケーブルを使ってPCやゲーム機などとイヤホンケースを接続することでペアリングなしでワイヤレスイヤホンから聴くことができます。
遅延測定結果の項目で書いたようにトランスミッター接続時は非常に低遅延で、かつ音質も良いです。
取り回しの面では同じハーマンのAKG N5 Hybridのようにドングルがケース内に収納されていて、ドングルを指すだけで接続できるタイプの方が便利ではあります。
AKG N5 Hybrid
ただ、TOUR PRO 3のトランスミッター機能はAuxで接続できるタイプのものもワイヤレス化できるのが利点ですね。古い機器などUSB接続できないものもワイヤレスイヤホンで聴くことが出来ます。
スイッチはUSBでもAuxでも接続できました
PS5はコントローラーからはAuxのみ。USBはたぶんPS5本体じゃないと無理かな
マイク性能・通話品質
非常にクリアな音声です。
風切音や周囲の雑音もしっかり処理。
外使用も問題なく、ビジネスでも使えるレベルのハイレベルなマイクだと思います。
また、通話に関する機能・設定項目が豊富なのも◎。
通話品質 | S・A・B・C・D |
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操作方法と操作性評価
デフォルトの操作方法
デフォルトでは左がノイズコントール、右が再生コントロールとなっています。
カスタマイズ方法は以下の中から1つずつ左右に割り当てる、いつものJBL方式。
ノイズコントールも再生コントロールも外せないので実質的に音量コントロールはいれることが出来ません。
音量はスマホかスマートタッチディスプレイで調整してねってことになりますが…
最近は自由にカスタマイズできるTWSも増えてきていますので、そろそろ改良していただきたいところ。
なお、このイヤホンはスマートオートメーションという着脱検知機能*を搭載しており、アプリでON/OFFを切り替えることができます。
3種類の操作パターンから2つを左右に割り振り
アンビエントS | 再生C | 音量C | |
1タップ |
ノイズコントール | 再生/停止 | 音量+ |
2タップ |
トークスルー | 曲送り | 音量- |
3タップ |
- | 曲戻し | - |
長押し |
音声アシスタント | 音声アシスタント | 音声アシスタント |
操作性 | S・A・B・C・D |
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専用アプリ【JBL Headphones】の主な機能
主な機能一覧
- イヤーチップのサウンド設定
- ノイズコントール
- スマート充電ケースの設定
- 装着感テスト
- スマートトーク*1
- 低遅延モード(ビデオモード)
- 着脱検知機能(スマートオートメーション)
- 操作方法のカスタマイズ
- SilentNow*2
- LDACのON/OFF
- イコライザー
- 空間サウンド
- Personi-Fi(音質最適化機能)
ホーム画面
オーディオ設定画面
その他の設定画面
*1スマートトーク
話し声に反応して自動でトークスルーモードになる機能
*2SilentNow
電車や飛行機で寝るときに使う機能
JBL TOUR PRO 3 総評
メイン機能評価
音質 |
|
9.7/10 |
---|---|---|
ノイキャン |
|
9.5/10 |
外音取り込み |
|
9/10 |
装着感 |
|
9/10 |
使い勝手評価
操作性 | S・A・B・C・D |
---|---|
携帯性 | S・A・B・C・D |
便利機能 | S・A・B・C・D |
通話品質 | S・A・B・C・D |
総評:9.5/10
TOUR PRO 3の使用感想まとめ
- ◎音質がものすごく進化、ハイエンド帯に相応しいものに
- ◎ノイズキャンセリングもTOPクラスの消音力
- ◎軽い着け心地なのにフィット感も抜群
- ○トランスミッター機能でなんでも低遅延ワイヤレス化(ドングルの方が取り回しは良い)
- ○スマートタッチディスプレイはあれば便利くらいの便利さ(でも好き)
- △イヤホンケースはやや厚みがあって重い
- △操作方法のカスタマイズ性が低い
- △LDAC接続時に使えない機能が多い(低遅延モードも効いていない)
TOUR PRO 3は音質/ノイキャン/装着感/機能性の全てが最上級のレベルにある、ハイエンドに相応しい完全ワイヤレスイヤホン。
他社ハイエンドTWSと比べても全く遜色のない音質・ノイキャン性能に、他のイヤホンにはないスマートタッチディスプレイという魅力が加わって唯一無二の存在に。
今後の3~4万TWSの有力な選択肢となりそうです。
非常に完成度の高いイヤホンだと思います。
今回は以上です。
また次回のレビューでお会いしましょう。